2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタンハイドレートの超高温・高圧下における相変化と巨大氷惑星内部構造の推定
Project/Area Number |
18340126
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平井 寿子 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (60218758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 佳孝 産業総合技術研究所, メタンハイドレート研究ラボ, 主任研究員 (80358283)
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Keywords | メタンハイドレート / 高温・高圧 / 海王星 / 内部構造 / 氷惑星 / ダイヤモンドアンビルセル / レーザー加熱 / メタン |
Research Abstract |
メタンハイドレートは惑星科学においては、天王星、海王星、タイタンなどの氷惑星や衛星の重要な構成成分と考えられている。これらの巨大惑星の組成や内部構造は、主に探査機による分光学的・物理的測定や理論計算によって推定されてきたが、実験的な検証は未だなされていない。一方、メタンハイドレートは近年、燃える氷として化石燃料に変わる次世代のエネルギー資源として注目されているが、同時に、メタンは二酸化炭素より20倍も高い温室効果を示すという危険性も持っている。実際に地球46億年の進化の過程で劇的な環境変動、例えば、生物の大量絶滅を引き起こした地球温暖化や"全球凍結"からの復帰、に大きく関与してきたことが、最近明らかにされつつある。本研究では、メタンハイドレートやメタンの惑星内部に匹敵する高温高圧条件下における相変化を実験的に明らかにし、この結果を基に、巨大氷惑星の内部構造を推定し、進化過程を検討することが、本研究の概要ある。本研究の基本的な実験方法はレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル高圧法である。 平成19年度は、まず室温下で、90万気圧までの高圧実験を行った。メタンハイドレートは2万気圧で高圧相(filled ice Ih構造)に転移することが知られていたが、この高圧相が40万気圧で構造がわずかに変わり、post-filled ice Ih構造に転移すし、そしてこの相が90万気圧にも及ぶ高圧まで存続することが明らかとなった。40万気圧での構造変化を調べたところ、構造のフレームワークをなす水分子は、40万気圧までは水素結合をしているが、40万気圧以上では、水素結合の対称化が生じ、もはや分子性が失われ、イオン性となり、構造が強化されることが示された。この、構造の強化が、90万気圧という高圧までの安定性を保証していることが結論付けられた。
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