2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタンハイドレートの超高温・高圧下における相変化と巨大氷惑星内部構造の推定
Project/Area Number |
18340126
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平井 寿子 Ehime University, 地球深部ダイナミクス研究センター, グローバルCOE教授 (60218758)
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Keywords | メタンハイドレート / 高温・高圧 / 海王星 / 内部構造 / 氷惑星 / ダイヤモンドアンビルセル / レーザー加熱 / メタン |
Research Abstract |
メタンハイドレートは地球上では、化石燃料に変わる次世代のエネルギー資源として注目されているが、同時に、メタンは二酸化炭素より20倍も高い温室効果を示すという危険性も持っている。一方、太陽系においては、天王星、海王星、タイタンなどの氷惑星や衛星の重要な構成成分と考えられている。これらの巨大惑星の組成や内部構造は、主に探査機による分光学的・物理的測定や理論計算によって推定されてきたが、実験的な検証は未だなされていない。そこで、メタンハイドレートやメタンの惑星内部に匹敵する高温高圧条件下における相変化を実験的に明らかにし、この結果を基に、巨大氷惑星の内部構造を推定し、進化過程を検討していくことが、本研究の全体的な目的である。平成19年度までの研究で高温高圧実験の基本的な方法を確立し、100GPaまでの加圧を行いながら、2500Kまでの加熱を行うことが可能となった。20年度はこの方法をメタンハイドレートと固体メタンに適用して、高温高圧実験を海王星氷マントル上~中部に相当する条件で行った。その結果、メタンハイドレートは海王星氷マントル層では存在できず、固体メタンは溶融して分子重合が進み、最終的にはダイヤモンドが生成することがわかった。平成21年度はタイタンの比較的上層部の条件である低温高圧を発生させ、メタンハイドレートの構造変化や結晶構造内のメタン分子の振動状態をX線回折とラマン分光方によって調べた。メタンハイドレート中のメタン分子は低温下でも高圧になると回転が止まり、定方位配向することが明らかとなった。タイタンにメタンリッチな大気が存在することは、従来の形成史では説明がつかなかった。しかし、ゲストメタン分子の定方位配向により誘起された強い相互作用のために安定化し、タイタンの深部においても安定に存在することができ、このメタンハイドレートがメタンの大気への供給源となっていると推定さした。
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[Presentation] Changes in structure and preferential cage occupancy of ethane hydrate and methane-ethane mixed gas hydrate under high pressure2009
Author(s)
Hirai, H., Takahara, N., Kawamura, T., Yamamoto, Y., Yagi, T.
Organizer
AIRAPT-22 & HPCJ-50
Place of Presentation
Tokyo, Japan
Year and Date
20090726-20090731
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