2008 Fiscal Year Annual Research Report
四次元変分法データ同化を用いた階層的逆解析によるエルニーニョ現象の解読
Project/Area Number |
18340139
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
淡路 敏之 Kyoto University, 理学研究科, 教授 (40159512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 洋一 京都大学, 理学研究科, 助教 (70335298)
根田 昌典 京都大学, 理学研究科, 助教 (10273434)
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Keywords | データ同化 / エルニーニョ / 予測 / 大気海洋フィードバック |
Research Abstract |
(1) 構築した世界初の1990年代結合同化再解析データを用いて、現実の複雑系における90年代気候変動の高精度解読を行い、エルニーニョの不規則なライフサイクルを明らかにするとともに、エルニーニョの予測可能性に向けて、"地球気候のゆらぎ"を考慮したアンサンブル予測実験(11メンバー)を1990年代の全エルニーニョを対象に行った結果、四次元変分法結合同化を用いて経年変動のエネルギーシグナルを精緻に抽出・再現するよう初期化すれば、定量的に観測事実と整合するなど予報スコアが大きく向上することが判明し、世界最長クラスの2年先行予測に成功した。成果はアメリカ地球物理学連合(AU)のJGRに掲載されるとともに、国際学会で大きな反響を呼んだ。 (2) 階層的データ同化による非静力ダウンスケーリング実験により、エルニーニョ発生のトリガーとして注目されている西部熱帯太平洋での西風バーストの発生に関わる大気海洋相互作用の素過程の再現に成功し、西風バーストの連続発生に果たす日周期熱・水交換の重要性とその機構を明らかにした。同時に、なぜ海面水温が29℃を超えると大気海洋結合が強化されるのか、そのメカニズムの一端を解明した。 (3) 以上の結果を統合して、エルニーニョ発生の標準理論であるリチャージ理論の拡充し、不明であったエルニーニョの発生と強度の不規則性に関するメカニズムを明らかにした。成果はJGRに掲載され、論文は全地球物理分野を対象とした週間ダウンロード数世界4位と高く評価された。さらに、大西洋のトリプルモード研究へと適用してそのメカニズムを解明し、AGUのレターであるGRLに掲載され、editor推薦論文に選ばれた。 (4) 解析データセットはwebから発信・公開した。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Ocean initialization for seasonal forecasting2009
Author(s)
Balmaseda, M., O. Aives, A. Arribas, T. Awaji, D. Beringher, N. Ferry, Y. Fujii, T, Lee, M. Reineker, T. Rosati, D. Stammer
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Journal Title
Peer Reviewed
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