2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本南岸の黒潮の流量と流路の経年変動特性に関する研究
Project/Area Number |
18340142
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今脇 資郎 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (40025474)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 香 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (40263959)
馬谷 紳一郎 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (30112353)
日比谷 紀之 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (80192714)
|
Keywords | 黒潮大蛇行 / 海面高度計 / 経年変動 / 黒潮流路 / 衛星軌道沿いデータ |
Research Abstract |
ASUKA測線における黒潮の流量の時系列データセットの期間を,本研究開始以前の2002年末から2006年末まで延長し,さらに今後の衛星高度計データと沿岸潮位データの定期的な更新とともに即座に流量データの期間を延長する処理システムを構築した。求めた黒潮流量のデータは,2007年度5月にインターネットでの公開を行うべく,webサイトを準備中である。 また,黒潮流路の経年変動の最も顕著な例である黒潮大蛇行について,衛星海面高度計による詳細観測期間中に唯一発生した2004年の黒潮大蛇行の事例について解析した。まず,黒潮流路上の流速について,大蛇行期間と非大蛇行期間の違いを比較した。流速の最大値そのものは大蛇行期と非大蛇行期で違いはなかったが,大蛇行期の黒潮は四国沖高気圧性渦から離れる東経136度付近から伊豆海嶺を通過する東経139度付近までの海域で流速が急激に小さくなり,逆に伊豆海嶺の東では非大蛇行期よりも流速が大きくなる傾向があったことが判明した。なお,観測された黒潮大蛇行期の流軸変動は,膠州海山を入れずに計算した数値モデルの結果よりも,膠州海山を入れて計算した結果に近いことも確認した。 さらに,移動速度が速く空間スケールの小さな黒潮小蛇行の大蛇行への遷移をより詳細に記述するために,衛星海面高度計のデータから時空間内挿して平面的な海面力学高度分布を求めたデータとともに,内挿する前の軌道沿いの海面高度計データも併用して黒潮変動を記述することを試みた。漂流ブイのデータを併用して軌道に直行する方向の絶対流速の時系列を求めたところ,九州・四国沖の黒潮の小蛇行では一般に内側域に西向きの反流が観測されたが,大蛇行に遷移した小蛇行では,大蛇行に遷移する直前に内側域沿岸付近で東向流が形成されていたことが判明した。この東向流については,今後検討する予定である。
|