2006 Fiscal Year Annual Research Report
恐竜類の脳や神経システムの形態解析及び鳥類への進化過程
Project/Area Number |
18340162
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 快次 北海道大学, 総合博物館, 助手 (70400033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 勝比古 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (20128268)
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Keywords | 化石 / 系統 / 進化 / 形態機能 |
Research Abstract |
恐竜から鳥類への進化における脳と神経システムの形態解析を行う上で、標本観察とCTスキャナを使った画像解析の二方向から研究を進めている。平成18年度に行った研究は、鳥が進化したと考えられている獣脚類恐竜ではなく、その外群である様々な恐竜の頭骨の特徴や神経システム(神経孔)の分布を観察していった。実際に観察した標本としては、竜脚類(カマラサウルス)と鎧流類(サイカニアと中国の未記載標本)、堅頭竜(プレノケファレ)がある。これらの観察により、鳥へと進化していく獣脚類恐竜の原始的な形質が読み取れ、どの特徴が恐竜としてもともと持っていた特徴で、どの特徴が鳥類へと向けて進化していくのかを判別するのに役立つものと考えられる。また、獣脚類の中でも、トロオドン科のサウロオルニトイデスの頭骨の観察も行った。 また、CTスキャナのデータにおける研究としては、2つの獣脚類恐竜の頭骨(ディロングとインキシボサウルス)のCTスキャンを行った。ディロングは最も原始的なティラノサウルス類の恐竜と知られ、またインキシボサウルスは最も原始的なオビラプトロサウルス類の恐竜として知られ、両者ともネイチャーにおいて記載されたものである。それぞれの標本はCTスキャナにかけられ、数百枚のCT画像が取り込まれた。ディロングとインキシボサウルスのCT画像は、一枚一枚解析され、構造が明らかになっている。インキシボサウルスに関しては、脳幹の部分が画像上で取り出され三次元復元された。その結果、大脳が他の恐竜よりも肥大しているものの鳥類までは肥大しておらず、視葉も大脳と小脳の側面に位置し、これらは鳥類と典型的な爬虫類の中間型であることを示している。インキシボサウルスの属するオビラプトロサウルス類は、飛べなくなった鳥であるという説があったが、この研究によってオビラプトロサウルス類は鳥類ではない恐竜であることが指示された。
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