2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340164
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 卓 Kanazawa University, 自然科学研究科, 准教授 (50272943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池原 実 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 准教授 (90335919)
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Keywords | OAE2 / 白亜紀 / 炭素同位体比曲線 / バイオマーカー / 高時間解像度 / 炭素循環 / 気候変動 |
Research Abstract |
前年度より採用しているポスドク研究員1名(守屋和佳)を継続して採用し,長谷川と共に研究を推進した結果,19年度に予定していた計画を順調に進行させることができた. 長谷川と学生およびポスドク1名は,北海道北西部達布地域の金尻沢に分布する白亜系蝦夷層群のOAE2に相当する層準(セノマニアン/チューロニアン境界)において,前年の2.4m間隔で100gずつ採取した試料の分析結果を踏まえて,新たに2m間隔で約500gづつ,総計80試料の堆積物サンプルを有孔虫層序による環境解析のために採取した.更に,環境が急変したと考えられる層準についてエンジンカッターを用いて10mに渡って連続柱状試料を採集した.そのサンプルを用いて,陸源有機物炭素(Ctorg)の炭素同位体比分析,およびサンプル中に含まれる有機化合物の分析(バイオマーカー分析)を継続中である.Ctorgの分析は高知大学海洋コア総合研究センター現有の元素分析計直結型質量分析装置を用いて行い,バイオマーカー分析には18年度に購入したガスクロマトグラフ質量分析装置を用いた. 追加採集した試料分析を行ったがCtorgの炭素同位体比分析(目的は,前年分析層準の複数分析と,分析点密度の増加,および分析層位範囲の拡張)の結果は,前年より更に高い時間解像度の炭素同位体比曲線が得られ,欧米の代表的なOAE2のセクションである,PuebloおよびEnglish Chalkセクションとの詳細な対比が可能となっただけでなく,現在最高の解像度と考えられるイタリア・グビオセクションのミランコビッチスケールの変動パターンともよく一致することが明らかになった.これにより,これまでは〜50万年の精度であった欧米と本邦との間のOAE2の年代対比が,〜1万年の精度で可能であることが更に明白になった.また,バイオマーカー分析の結果,このOAE2に相当する層準において,長鎖n-アルカンの組成比が,世界的な寒冷化の開始直前に大きく変化していることが明らかになり,OAE2に連動して陸上環境が大きく変化したことが明らかになった.
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Research Products
(2 results)