2006 Fiscal Year Annual Research Report
白亜紀以降に起きた化学合成群集の進化の解明ーメタン湧水場の地下構造に照らして
Project/Area Number |
18340165
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
延原 尊美 静岡大学, 教育学部, 助教授 (30262843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間嶋 隆一 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (30202310)
天野 和孝 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50159456)
近藤 康生 高知大学, 理学部, 教授 (90192583)
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (70313195)
角皆 潤 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (50313367)
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Keywords | 層位・古生物学 / 化学合成生態系 / メタン湧水 / 深海生物 / 白亜紀 / 新生代 / 進化 / 海洋生態 |
Research Abstract |
白亜紀以降に起きた化学合成群集の進化の背景を解明するため,メタン湧水場における群集構成と地下構造との対応に注目した.それらの対応をさぐる上でのモデルケースとして,新生代については長野県の中新統別所層中の赤怒田・穴沢石灰岩体を,白亜紀については高知県四万十市の上部白亜系中村層中の佐田石灰岩を研究対象とした. 赤怒田・穴沢石灰岩体については,精密な測量を実施し露頭規模およびそれらの位置関係を明らかにした.その結果,一連の石灰岩体群は周囲の走向方向にそって配列しており,ほぼ同時期に形成されたことが判明した.化石相の点では,シロウリガイ類群集に加えてパッチ状にシンカイヒバリガイ類が密集すること,岩相の点では,メタンの浸み出しフェーズに対応したミクライト相だけでなく,激しい湧出フェーズに対応したスパライト相が認められることで特徴づけられる.それらのフェーズは角礫化作用や溶解を伴いながらくり返しており,今後ボーリンク調査を実施し,湧水挙動の時間変遷を明らかにする予定である. 中村層の佐田石灰岩については,2006年11月に合同調査を行った.その結果,佐田石灰岩の生物相はThyasiraや管状Serpulaで優占され他の化学合成二枚貝が伴われることが判明した.また,中・古生代の湧水性石灰岩体によく見られるストロマタクティス様構造が発達することでその岩相は特徴づけられる.このような岩相は日本の他の産地では認められておらず,その形成過程を明らかにすることで,湧水挙動と生物相との対応に新しい視点が提供できる可能性がある.今後は,測量調査の範囲を拡大しつつ,それらの精密マップをもとに,岩相・化石相の分布を明らかにしてゆく予定である. これらの結果については,一部は古生物学会にて発表を行った.また,佐田石灰岩の合同調査については日本古生物学会の「化石」誌に投稿準備中である.
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Research Products
(2 results)