Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 和孝 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (50159456)
近藤 康生 高知大学, 理学部, 教授 (90192583)
角皆 潤 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (50313367)
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
ジェンキンンズ ロバートG 東京大学, 海洋研究所, 特任研究員 (10451824)
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Research Abstract |
高知県の白亜系メタン湧水性石灰岩(佐田石灰岩)について,地形測量範囲を拡大して,石灰岩体の分布域をさらに追跡した.佐田石灰岩の化学合成化石群集は,ハナシガイ科二枚貝で優占されるが,巻貝化石が局地的に密集する.今回の調査で,巻貝密集層は長さ数mのレンズ状岩体を構成すること,周囲との境界は漸移的であること,また苦灰岩を主体とし,周囲とはその岩相が異なることが明らかとなった.以上の岩相や化石産状をもとに,巻貝化石群集は,湧水場内に群生していたものが,急速埋積されて形成されたと推定された. 長野県の中新統別所層のメタン湧水性石灰岩(赤怒田・穴沢石灰岩体)について,露頭壁面における岩相マッピングに加え,化石産状のスケッチを行った.また岩石サンプルについて研磨断面および薄片試料を作成し,湧水活動に伴う地下の堆積物の変質過程を明らかにした.その結果,塊状均質な泥質石灰岩にはシロウリガイ類が散在するのに対し,自破砕組織を有し炭酸塩細脈が著しく発達する近傍には,シロウリガイ類やシンカイヒバリガイ類が密集するというパターンを発見した.また,ボーリングコアの岩相および安定同位体比の分析から,この巨大な石灰岩の形成には,表層下で小規模な石灰岩が形成される段階と,それらが互いに癒着・成長してゆき湧水の出口が集中化する段階が繰り返されることが判明した. 以上のように,石灰岩体内の岩相変化や,それに伴う化石群集の構成種や産状の変化について,パターンがあることが明らかになってきた.これらは,湧水場における堆積作用や続成作用の過程が,化学合成生物相に及ぼす影響を評価する上で,重要である.
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