2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統解析手法を用いた現生渦鞭毛藻シストと遊泳細胞対応関係の再検討
Project/Area Number |
18340166
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松岡 數充 Nagasaki University, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 教授 (00047416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩滝 光儀 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 助教 (50423645)
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Keywords | 分子系統解析 / 分類学 / 渦鞭毛藻 / シスト / 単細胞PCR / SSUrDNA |
Research Abstract |
渦鞭毛藻シストは物理化学的な耐久性を持つ細胞外被で被われており、微化石として堆積物より産することか、生層序学、古海洋学、系統進化学の基礎情報として活用される。渦鞭毛藻のシストと遊泳細胞の対応関係は、形態観察と培養実験により明らかにされてきたが、この対応関係の不明な種も多く存在する。本研究は、形態学的知見に分子系統解析手法を組み合わせることで、シスト-遊泳細胞対応関係の確立を目的とする。 今年度は、昨年度に引き続きセディメントトラップを用いて渦鞭毛藻シストを採集し、単細胞PCRによるDNA配列決定を試みた。セディメントトラップ試料は長崎県大村湾で定期的(1定点、月2回ずつ)に採集した、遺伝子解析には、遊泳細胞で単細胞からの塩基配列の増幅・決定についての実績があり、また、渦鞭毛藻では比較的多くの種の配列が決定・公開され、比較が容易なSSUrDNA、更にLSU r DNAを用いた。その結果、 1、無殻渦鞭毛藻 Polykrikos kofoidii と Pokykrikos schwartzii のシストと遊泳細胞の対応関係が逆であったことが判明した。すなわち、荒い網目で装飾されるシストはP.kofoidiiで、棚状突起物を備えたシストはP.schwazrtziiであることが遺伝子系統解析とシスト発芽実験によって確認できた。 2、これまで二重膜で構成され、頂板発芽孔を持つ褐色球形のシストはこれまでProtoperidinium americanumにしか知られていなかった。大村湾で採取した同様の形態を持つシストは Protoperidinium parthenopis と同定される鎧板配列を持ち、P.americanumと異なっていた。この2種は遊泳細胞の分子系統解析結果でも明瞭に識別された。
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