Research Abstract |
1.顕微レーザー・ラマン分析装置を用いて得られる,ざくろ石に包有される石英のラマン・スペクトルから,残留圧力を検出する手段についての基礎的研究を行った.その結果をAmerican Mineralogist誌上に印刷公表した. 2.上記1で提案したラマン石英残留圧力計を別子地域・三波川変成帯高温部に適用し,エクロジャイト相変成作用の痕跡を検出する試みを開始した.その結果,(1)高圧変成帯の構造境界を残留圧力の変化として認識できること,および(2)従来はエクロジャイト相変成作用の痕跡が報告されていなかった変泥質岩も,エクロジャイト相の圧力に対応する残留圧力を保持していることが明らかとなった,この成果を受けて,同地域におけるエクロジャイト相変成作用を被った岩石の分布の広がりを検討中である. 3.別子地域・三波川帯に産ずる藍晶石-エクロジャイトについて,そのP-T履歴の再検討を行い,その結果をJounal of Mineralogical Petrological Sciencesに投稿した. 4.代表的なエクロジャイト質変斑れい岩からなる瀬場岩体の全岩組成の検討を行った.その結果,当岩体は,全体として,オリストストローム複合岩体を形成し,沈み込む海山の破片の一部をなしていた可能性が高いことが,あきらかとなった. 5.三波川帯高温部に分布するエクロジャイト質岩体中に残存する,高温エクロジャイト相およびグラニュライト相に由来するとされてきた鉱物共生は,火成作用とそれにともなう冷却過程で形成されたもので,特別な変成作用イベントを想定する必要がないことを明らかにした. 6.三波川エクロジャイトのLu-Hf年代測定を行い,投稿原稿を作成中である.
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