2007 Fiscal Year Annual Research Report
2相系としてとらえた高圧下における下部マントルレオロジーの研究
Project/Area Number |
18340173
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山崎 大輔 Okayama University, 地球物質科学研究センター, 准教授 (90346693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英司 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (00033259)
桂 智男 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (40260666)
大藤 弘明 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (80403864)
芳野 極 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (30423338)
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Keywords | レオロジー / 下部マントル / ペロフスカイト / フェロペリクレース / 2相系 |
Research Abstract |
地球の下部マントルは主に、珪酸塩ペロフスカイト(この高圧相のポストペロフスカイト)とフェリペリクレースの2相によって構成されている。従って、これらの相の集合体としてのレオロジーが下部マントルレオロジーの解明には非常に重要である。今年度は、以下の2点について重要な知見を得た。 1)フェロペリクレースはペロフスカイトに比較して、3桁以上の低い粘性率を持つことが知られている。従って、フェロペリクレースが下部マントルにおいて連結構造を持つ場合には、全体のレオロジーはフェロペリクレースに支配される。そこで、上部マントルの主要構成鉱物であるオリビンを出発試料に用いて高圧実験を行い、下部マントル条件でのフェロペリクレースとペロフスカイトの分布組織をX線トモグラフィ法によって調べた。その結果、フェロペリクレースは全体の3割程度の量であるにもかかわらず、連結構造を呈することが明らかになり、下部マントルの粘性を考慮する上で非常に重要な要因である。 2)下部マントル最下部は、地震波構造の異常が多く観察されている。とくに、異方性の観測が特徴的である。この異方性の原因として、主要構成物質のポストペロフスカイトとフェロペリクレースの選択配向が予想されている。しかしながら、これらの選択配向のみでは地震波速度の異方性を説明できない地域(プルームが上昇するような比較的暖かいと思われている領域)がある。このような地震波速度の異方性を解釈するために、ペロフスカイト、ポストペロフスカイト、フェロペリクレースの選択配向のデータに基づいた考察を行った。その結果、環太平洋下などの水平方向にマントル対流している箇所では主にフェロペリクレースが重要な役割を果たすことが明らかになった。一方、鉛直対流が活発な地域(中央太平洋下など)では、選択配向によるモデルでは説明できないことが明らかになり、面構造や線構造などの鉱物の配列が異方性を引き起こしている可能性があることが分かった。今後は、実際の2相系の場合の選択配向を調べる必要がある。
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Research Products
(5 results)