2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯林発生源調査と安定同位体比測定による大気中塩化メチルの収支バランスの解明
Project/Area Number |
18340179
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
横内 陽子 National Institute for Environmental Studies, 化学環境研究領域, 室長 (20125230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角皆 潤 北海道大学, 理学(系)研究科, 准教授 (50313367)
斉藤 拓也 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, NIESポスドクフェロー (40414370)
奥田 敏統 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (20214059)
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Keywords | 塩化メチル / 熱帯植物 / 収支 / 放出量 / 安定同位体比 |
Research Abstract |
(1)マレーシアの熱帯林において115種の熱帯植物の葉を採取し、バイアル瓶法による塩化メチル放出速度の測定を行った。その結果、フタバガキ科樹木などの23種の熱帯植物が数ng/drywt/h以上の塩化メチルを放出する塩化メチル放出植物と同定された。また、Pasoh森林保護区のタワーを用いて、樹幹上における塩化メチル濃度の高度分布を測定した。樹幹上の高さに対する塩化メチル濃度の減少率などから、Pasoh熱帯林からの塩化メチル放出量が数〜数十μg/m^2/hに上ると推定した。 (2)温室で栽培した14種の熱帯植物を用いて、熱帯植物から放出される塩化メチルの炭素安定同位体比測定を行った。得られた熱帯植物起源塩化メチルの平均的な同位体比(約-83パーミル)とこれまでに報告されている塩化メチルの各種発生源の同位体比、および消失源の同位体効果を用いて、グローバルな塩化メチル収支を計算したところ、熱帯植物からの塩化メチル発生量は年間約1500-3000万トンに上ると見積もられた。 (3)熱帯林で採取された多種の植物についても、放出される塩化メチルの炭素安定同位体組成をバイアル瓶法を用いて決定した。その結果、温室で栽培した熱帯植物の場合と類似の同位体比が得られた。また発生メカニズムの解析に利用するため、一部試料について同時に放出される微量メタンの放出量とその炭素安定同位体組成も決定した。さらに熱帯域で熱帯植物と並んで塩化メチル放出源となっている可能性があるバイオマス燃焼や海洋などから放出される塩化メチルについても炭素安定同位体比の定量を行い、熱帯植物由来の塩化メチルとの同位体組成の違いを明らかにした。
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