2007 Fiscal Year Annual Research Report
水槽飼育サンゴを用いた骨格環境指標の高精度化に関する研究
Project/Area Number |
18340180
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 淳 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, 主任研究員 (60344199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川幡 穂高 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20356851)
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (50153838)
村上 明男 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 准教授 (50304134)
岡井 貴司 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (20356679)
村山 昌平 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (30222433)
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Keywords | サンゴ / 炭酸カルシウム / 酸素同位体比 / 水温 / 成長速度 / 炭素同位体比 / 生物鉱化作用 |
Research Abstract |
造礁サンゴ骨格は,月から週の時間分解能で熱帯および亜熱帯の浅海域の古気候・環境情報を保持しうる試料である。サンゴ骨格の酸素同位体比の変化は,基本的には海水温と海水の酸素同位体比(これは塩分に相関する)を反映する。しかし,サンゴには骨格の酸素・炭素同位体比が平衡値からずれるという「生物学的効果(vital effect)」が認められ,これは石灰化反応に内在する反応速度論的同位体効果によるものと考えられている。本研究課題第2年度にあたる平成19年度は、前年度に得られた試料め分析を進めるとともに、「光量制御実験による酸素・炭素同位体比の成長速度依存性の解明」を中心に検討した。「酸素・炭素同位体比の骨格成長速度依存性は光条件に依存する」という仮説の検討のために、光量を多段階に制御したサンゴ飼育実験を行った。Porites spp.を対象として,水温はすべて25℃とした。飼育実験の光量設定は、100、200、300、500umol m-2s-1の4段階として、従属栄養(光合成<呼吸)から独立栄養(光合成>呼吸)に移行する補償光強度周辺が評価できるような条件配置に工夫した。光量の増加に伴い、酸素同位体比が減少する傾向が見られ、これは成長促進に伴う反応速度論的同位体効果によるものと解釈された。成長促進に伴い、同様の効果が炭素同位体比にも影響していると考えられるので、この効果分を差し引く補正を行うと、炭素同位体比の変化残差量に、光量依存性が認められた。このことは、炭素同位体比が光合成に規定されていることを示唆するものである。
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Research Products
(3 results)