2006 Fiscal Year Annual Research Report
微細管内高速流れ場インパルス放電による金属酸化物ナノ構造制御
Project/Area Number |
18340182
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯塚 哲 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20151227)
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Keywords | 大気圧放電 / 高周波インパルス放電 / 細管内表面処理 / MgO膜 / ナノ粒子 / 金属酸化物 / スパッタリング / マイクロプラズマ |
Research Abstract |
本研究では、「細管内面コーティング」「高周波インパルス放電」「金属酸化物(MgO、ZnO)薄膜表面ナノ構造制御」という3つの柱をテーマに挙げ、細長い微細ガラス管内における高周波インパルス放電の解明と内壁面への金属酸化物生成機構の解明を目的に実験を進めている。実験は、細長いガラス管(内径2mm)内に供給した反応ガス(アルゴン、酸素)流の中で、準大気圧高周波インパルス放電によりガスを分解し、スパッタリング法によって細管内壁面上に金属酸化物MgOの生成が明らかになった。 1.高周波インパルスの繰り返し周波数と放電開始電圧との関係が明らかになった。繰り返し周波数を低くすると、パルス間隔周期の時間内に細管内壁面に蓄積していた壁電荷が消失する。そのため、次のパルスによる放電開始伝圧が高くなってしまう。逆に、パルスの繰り返し周波数を高くすると、壁電荷が残っているため、次の放電の開始電圧が低減化できることが明らかになった。このことから、できるだけパルスの繰り返し周波数が高い放電が効率的であることが分かった。本研究では電源の制約から3.5kHzとした。 2.細管内の放電の圧力依存性を調べることにより放電の特性を明らかにした。アルゴン/酸素の場合、放電開始電圧が最小となるPd積はほぼ1(Torr・cm)程度である。直径2mmの細管に適用すると電極間隔dが5mmのとき数Torrとなる。成膜実験は1-10Torrの範囲で行った。 3.直径1.6mmのマグネシウム電極のスパッタリングによるMgOの成膜実験を行った。圧力P〜2Torrのとき、ガラス管内壁に堆積物を検出した。SEM観察により透明度の高い結晶性の微粒子の生成が観測された。また、ラマン分光分析からMgOにピークをもつスペクトルが観測された。微粒子の大きさは1μm以下のナノサイズであった。放電電力依存性も調べられた。一方、圧力が高い10Torr以上では堆積物がほとんど観測されなかった。 以上により、直径2mmのガラス管内の数Torrのインパルス放電により、ガラス内壁面にMgOナノ微粒子の効率的な生成が明らかになった。
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