2006 Fiscal Year Annual Research Report
原子・分子・輻射過程を伴うプラズマの相乗的複雑性と応用に関する研究
Project/Area Number |
18340186
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸本 泰明 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 教授 (10344441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 進 産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
内海 隆行 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (50360433)
福田 祐仁 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (30311327)
佐々木 明 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10215709)
河野 康則 日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (90354589)
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Keywords | 相乗的複雑性 / プラズマ着火 / 原子・分子過程 / 電離過程 / 放電・雷過程 |
Research Abstract |
本研究は「無衝突プラズマとしてのマクロなダイナミックス」と「原子・分子過程や衝突緩和過程などのデバイ長内部のミクロなダイナミックス」の結合によって作りだされる複雑なプラズマ過程を「相乗的複雑性」と位置づけ、この過程によって支配されるプラズマの動力学の構築を行うとともに、そのような新奇なプラズマ特性を生かした応用研究や宇宙プラズマ物理学への学術展開を図ることを目的とする。平成18年度は以下の研究を進展させた。 1)プラズマ手法を基礎に、電磁場や粒子衝突による物質の電離・再結合過程、生成された荷電粒子間のクーロン衝突や緩和過程等の様々なミクロ過程をモデル的に導入したシミュレーションコードEPIC3Dの開発を進めた。開発したEPIC3に用いて、極短パルスレーザーとネオンやアルゴンなどの高い価数原子からなるクラスターおよび固体薄膜との相互作用シミュレーションを行い、物質形状と電離過程および緩和過程が強くリンクした過渡過程とそれに伴う顕著な構造形成現象を見出すことに成功した。特に、(1)クラスター表面において入射レーザー強度を大きく上回る分極場が生成され、それによって高価数のイオンが生成されること、(2)この高価数イオンは非等方的なクーロン膨張過程を通して高エネルギーイオンの生成に大きく寄与すること、(3)レーザー光が伝播しないクラスターの中心領域においても、表面で加速された電子の二次衝突による電子衝突イオン化に加え、ミクロスケールの局所的な波動が励起され、その電場によるイオン化がクラスターの電離状態と膨張ダイナミックスに重要な影響を与えること、などを見出した。 2)相乗的複雑性の典型例として、核融合プラズマの輸送を支配するミクロな乱流とその非線形相互作用によって生成されるマクロな帯状流生成のダイナミックスに関する研究を進展させた。特に、電子スケールのミクロな乱流が生成する帯状流に対するイオンスケールの平均流の影響について理論モデルを構築し、ミクロスケールとマクロスケールの相互作用に関して理解を進展させた。
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Research Products
(5 results)