2006 Fiscal Year Annual Research Report
偏光X線分光法による超高強度レーザー生成プラズマ中のエネルギー輸送診断
Project/Area Number |
18340187
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 博明 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (60135754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長友 英夫 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助教授 (10283813)
城崎 知至 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (10397680)
藤岡 慎介 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助手 (40372635)
阪部 周二 京都大学, 化学研究所, 教授 (50153903)
甲斐 健師 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (70403037)
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Keywords | 超高強度レーザー / 高速電子輸送 / 偏光分光 / X線分光診断 / レーザープラズマ診断 |
Research Abstract |
超高強度レーザーと物質との相互作用の結果、数10keV〜数MeVの高速電子が発生しプラズマ内部を伝搬し、背景プラズマを加熱するとともに、高エネルギーイオンやピコ秒パルスX線、γ線などが放射される。粒子シミュレーションの予測によると、レーザープラズマ相互作用の結果生まれる高速電子の速度分布は、初期、きわめて非等方であり、プラズマ伝搬中に局所的電磁界を介して急速に緩和し、最終的に高温の等方プラズマが形成されると考えられる。レーザープラズマにおい、非等方な高速電子とプラズマ中のイオンとの衝突の結果、放射X線は偏光すると考えられる。このように、放射X線の偏光度を測定することにより、高密度プラズマ中の高速電子の非等方速度分布とその変化の様子を測定することが可能となる。本研究は、超高強度レーザープラズマ中の高速電子輸送に着目し、放射される偏光X線分光からその速度分布の直接観測を可能にする(1)新しいプラズマ診断法を開発するとともに、(2)高速電子輸送からX線放射過程までを統合した新しい計算コードによるシミュレーション解析手法を確立して、高密度プラズマ中の高速電子輸送を解明することを目的としている。 本年度は以下の研究を実施した。(1)観測対象を塩素Heα線(@2.79keV)ならびに銅のHeα線(@8.39keV)とし、予備実験に使用した湾曲結晶分光器を2チャンネルに改造した。(2)従来の実験に使用してきた既存分光器と新たに整備した分光器との偏光度に関する相互較正を実施した。次に、塩素をトレーサとして含んだ多層膜ターゲット照射実験を実施した。照射強度は10^<18>W/cm^2程度である。現在、実験結果の解析を進めている。(3)レーザーにより発生した高速電子の速度分布を2次元粒子コードにより求め、その出力結果をもとに、プラズマの温度・密度情報を等方電子成分(熱電子:ルジャンドル展開した場合のf_0成分)と非等方電子成分(同f_2成分)それぞれに分離した原子レート方程式求解法に代入してポストプロセスし、偏光X線スペクトルの時間・空間情報、偏光度を導いた。現在、論文を作成中である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] X-ray line polarization spectroscopy to study hot electron transport in ultra-short laser produced plasma2006
Author(s)
Y.Inubushi, H.Nishimura, M.Ochiai, S.Fujioka, T.Johzaki, K.Mima, T.Kawamura, S.Nakazaki, T.Kai, S.Sakabe, Y.Izawa
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Journal Title
J. Quantitative Spectroscopy and Radiation Transfer 99
Pages: 305-313