2006 Fiscal Year Annual Research Report
μg試料のマイクロコイルNMRによる微小単結晶への水素吸蔵と新規物性の解明
Project/Area Number |
18350002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (00155011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 悟朗 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (00333592)
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Keywords | 水素吸蔵錯体 / オルソ・パラ重水素 / 固体NMR / マイクロコイルNMR / 分子性固体 / 物性実験 / 非線形ダイナミクス |
Research Abstract |
水素吸蔵金属錯体[Rh(II)_2(bza)_4(pyz)]_nの配位子の運動状態の解明:水素吸蔵状態を調べる前にRh(II)_2二核ユニットを構成する配位子である安息香酸イオンのフェニル基と、二核ユニットを結び一次元鎖を作るピラジンの運動状態を、それぞれを重水素化した試料について、重水素核NMRにより調べた。その結果、両者ともに室温では1MHz以上の速さで180°フリップ運動をしており、活性化エネルギーは40および49kJ/molであり、結晶格子は柔らかいことがわかった。 [Rh(II)_2(bza)_4(pyz)]_nへの重水素分子の吸蔵状態の解明:自作の液体ヘリウム用クライオスタットに重水素ガス導入システムを構築した。81Kにおいて重水素ガス圧760mmHgで重水素分子を吸蔵させた粉末錯体試料の重水素核固体NMRスペクトルは半値幅30kHzの特徴ある線形を示すことを見出し、回転量子数J=0のOrtho-D_2は取り込まれず、電気四極子モーメントを持ち分子間引力が強いJ=1以上の分子が優先的に吸蔵されることがわかった。しかも半値幅30kHzは、通常の固体重水素では数十mKまで冷却しないと実現しない分子配向秩序を示しており、この錯体中でJ=1以上の重水素分子は比較的強く束縛されていることを見出した。重水素ガス圧を760〜20mmHgの間で変化させて同様のスペクトルを測定した結果、400mmHgを境に吸蔵状態の変化および運動状態の変化が起こることも見出した。重水素ガス圧760mmHgでの重水素核固体NMRスペクトルの温度変化(25〜300K)の測定により、取り込まれた重水素分子の運動状態の温度変化を観測した。 微小単結晶のマイクロコイルNMR測定の準備:NMR用マイクロコイルをセットする一軸回転型非磁性ゴニオメータを作製した。また、このプローブに液体ヘリウム温度領域まで重水素ガスを導入でき、かつ単結晶を外部磁場に対して回転できるシステムを設計し、一部試作した。
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