2008 Fiscal Year Annual Research Report
μg試料のマイクロコイルNMRによる微小単結晶への水素吸蔵と新規物性の解明
Project/Area Number |
18350002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (00155011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 悟朗 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00333592)
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Keywords | 水素吸蔵錯体 / 固体NMR / 中性子非弾性散乱 / マイクロコイルNMR / 水素吸蔵物質 / 量子的運動 |
Research Abstract |
1. [Rh(II)_2(bza-d5)_4(pyz-d_4)]_n(3H_2)の中性子非弾性散乱 : 新たに5g合成した完全重水素化したRh錯体中に水素圧1気圧下および0.5気圧下で吸蔵された軽水素H_2の25Kおよび80Kにおける中性子非弾性散乱(energy transferおよびmomentum transfer)を測定することにより、ホスト格子中での水素分子の量子的回転準位間のエネルギー差を直接観測した。その結果、前年度までに固体NMRで予測していた、回転の束縛ポテンシャルが異なる2種類のサイトがあること、および束縛ポテンシャルがかなり強いことを明確にした。軽水素H_2を重水素D_2に換えた物質についても重水素D_2分子の回転エネルギー準位を決定することに成功し、ホスト格子への吸蔵状態は軽水素とほぼ同様であることを解明した。このホスト格子中では80Kでも、4Kの固体水素よりもはるかに強く束縛されていることがわかった。 2. [Cu(II)_2(bza-d5)_4(pyz-d_5)]_n(3H_2)の中性子非弾性散乱 : 1.と同様に完全重水素化したCu錯体中に、水素圧1気圧下で吸蔵された軽水素H_2の25Kおよび80Kにおける中性子非弾性散乱を測定した。その結果、Cu錯体中での水素分子の回転束縛状態はRh錯体中でのそれとは異なっていることを見出した。特に各回転準位への分子の分布状態が大きく異なっており、ホスト格子と水素分子の引力とも密接に関連するオルソ・パラ変換と関係すると考えられ重要な知見であり、今後の研究展開につなげる。 3. 重水素化したフェニトイン結晶のサブミクロン粒子を合成し、DSCによる熱測定固体NMRによる分子運動性を調べた。その結果、バルク結晶と比べ、協同現象である相転移は大きく過冷却するが、分子の運動は大きくは変化しないことを見出した。
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