2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18350003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小國 正晴 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50144423)
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Keywords | 低温物性 / 表面・界面物性 / 物性実験 / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
地球表層において薄膜やナノチャネル水は地球輪廻と生命活動に重要な役割を果たしており,熱測定により,その静的・動的性質の解明に努めた。まず,細孔直径が0.7〜5.0nmのメゾポーラスシリカMCM-41の合成を試み,窒素吸着法およびBJH法によりその細孔径を決定した。さらに,細孔内に水を導入し,細孔径の増大とともに内部水のガラス転移は160K,205Kと飛びとびに現れることを見いだした。 無機・有機ハイブリッド結晶[Ni(cyclam)(H_2O)_2]_3(TMA)_2・24H_2O(細孔直径1nm)とCo(Hbim)_3TMA・20H_2O(細孔直径1.5nm)の熱測定を行い,ナノチャネル水の秩序化とガラス転移挙動を明らかにした。MCM-41と異なって,細孔壁は結晶の周期構造を有し,細孔水はその構造と整合するように低温で秩序構造を形成した。しかし,細孔径の増大とともに,細孔中心部の水は細孔壁構造と不整合な,水本来の構造を形成する傾向があるものと理解された。 ナノシート層間水を有する系としてNa-RUB-18結晶の熱測定を行い,水素結合ネットワークを形成しない水分子が194Kで配向秩序化の相転移を,106Kでガラス転移を示すことを見いだした。 過冷却水では,水の液体-液体相転移の可能性とも関係して,水分子再配置緩和時間がどのような温度依存性を示すかは大いに興味がもたれる。そこで,誘電緩和測定が可能な装置を製作中である。 本研究はもともとシリカゲル細孔中に導入した水が液体のままにあることの発見に始まる。シリカゲル細孔径はやや分布が広いことが問題であるが,水のガラス転移温度が135Kにあるか,160Kにあるかが大問題になっている状況下で,内部水は160Kでガラス転移することを見いだした。その研究成果を国際誌に公表した。
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Research Products
(4 results)