2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18350003
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小國 正晴 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (50144423)
|
Keywords | 低温物性 / 表面・界面 / 物性実験 / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
熱測定により,薄膜やナノチャネル水の静的・動的性質の解明に努めた。誘電緩和測定は試みたが,ノイズが大きく,熱測定結果と対応させるに十分に精確なデータは得られなかった。 ナノシート層間水を有する系Na-RUB-18結晶の熱測定結果と対応させる観点からNMRの測定を行った。水分子再配置の緩和時間は熱測定によるガラス転移現象とよく整合する結果を与えた。 昨年度測定したCo錯体(細孔直径1.5nm)と同構造をもつ無機・有機複合結晶Cr(Hbim)_3TMA・20H_2O(細孔直径1.6nm)の熱測定を行った。Co錯体の挙動に比して,秩序化の協同性が増大した。 細孔直径が1.1nmのシリカゲル細孔中のメタノール水溶液のエンタルピー緩和測定を種々の組成について行った。その結果,高濃度領域の挙動は水本来の水素結合ネットワークを形成しない系の挙動に対応し,非常に希薄な領域で水本来の構造形成が進むとともに,ガラス転移温度は組成とともに急激な変化を示し,純水の値160Kに近づくことを明らかにした。また,MCM-41細孔内に閉じ込めたエチレングリコール水溶液およびヒドロキシルアミン水溶液の熱挙動を追跡した。前者ではミクロ相分離を見いだし,組成xが小さくなって水の水素結合ネットワークが発達するに従ってT_gが異常に上昇することを,後者では液体-液体相転移の存在を示唆する現象を発見した。 これらの結果から,水は低温で特徴的な水素結合ネットワークを形成し,そのネットワークの発達に応じて構造緩和時間,従ってガラス転移温度に飛びを示すものと理解される。
|
Research Products
(4 results)