2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18350012
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
齋藤 健一 Hiroshima University, 自然科学研究支援開発センター, 准教授 (80302579)
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Keywords | 放射圧 / 表面張力 / 臨界点 / 超臨界流体 |
Research Abstract |
物体は光の散乱後に散乱ベクトルと逆向きに運動量を得る。この運動量を光の放射圧と呼ぶ。本研究では,光の放射圧を利用し表面(界面)張力として数値化する装置を開発する。特に臨界点近傍の気液界面は,僅かな振動で界面が変形または波打ち,メニスカスが消失する。このような界面を光の放射圧を用いて変形させ,その形状変化から表面張力測定を試みる。 本年度は気液臨界点近傍の界面を観測するための新しい高圧セルをデザインした。昨年度は窓が小さく観測が困難であったため面積を約10倍に大きくしたセルを新たに作製した。窓材は強度のあるサファイアに変更した。加熱部は,昨年度実績のあった方法を採用しPID制御で温度変動を±0.1℃以内に抑えた。圧力計測には歪みゲージを用いた。この研究に要求されることは,1)高圧下において気液界面の形状を側面から観測できる,2)レーザービーム形状がM^2のよいTEM_<00>モード,2)レーザー出力が0-6W程度まで連続可変である。作成したセルと光学系を組み合わせ臨界点近傍における気液界面の測定を試みた。しかし一つの問題が発生した。試料にレーザーを入射するとレーザーの通過部より気泡が発生し沸騰のような現象が観測された。レーザーの波長は532nmで媒体はCO_2であるため電子遷移による光の吸収はない。この気泡はレーザー光の一部がラマン散乱等の被弾性散乱により媒体に僅かにエネルギーを移動し局所的に温度を上げると判断した。この沸騰により気液界面がゆらぎ僅かな界面変形の検出は困難であった。気液臨界点から温度を下げ,影響をうけにくい状況でも試みたが,クーラーならびに結露防止のシステムの導入が必要であった。常温液体では沸騰現象は観測されなかったため,今後はより臨界温度の高い物質またはCO_2の低温側で測定温度を行うことが必要であることがわかった。
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Research Products
(1 results)