2007 Fiscal Year Annual Research Report
孤立気相状態における水素結合クラスターのエキシトンダイナミクス
Project/Area Number |
18350013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関谷 博 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (90154658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 晴之 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90251363)
迫田 憲治 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (80346767)
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Keywords | エキシトン相互作用 / 励起状態ダイナミクス / 超音速ジェット / 水素結合 / プロトン移動 / 電子スペクトル / 蛍光 / トンネル効果 |
Research Abstract |
Frenke1型のエキシトン相互作用にはstrong coupling caseとweak coupling caseが知られている。分子間水素結合によって平面構造を形成する2量体のエキシトン相互作用については殆ど知られていない。本研究は、二重の水素結合をもつ芳香族分子クラスターにおけるエキシトン相互作用と励起状態プロトン移動ダイナミクスについて調査することを目的としている。平成19年度は1-アザカルバゾール2量体(1AC_2)のエキシトン相互作用について調査し、7-アザインドール2量体(7AI_2)の場合と比較検討した。1AC_2-hhの同位体1AC_2-hd、1AC_2-ddの蛍光励起スペクトルの測定から、1AC_2-hd(I)と1AC_2-hd(II)の二つのオリジンを同定した。1AC_2-hdのオリジンバンドは,低波数側1AC_2-hdに比べ,高波数側1AC_2-hdの方が強く観測されている。これは、7AI_2-hdのオリジンバンドにおいて、低波数側7AI_2h^*dと高波数側7AI_2-hd^*の強度比が等しく観測されていることとは異なる結果である。このことは、7AI_2に比べ,1AC_2のヘテロ置換体では、モノマー部位に電子励起が局在化した2つのゼロ次状態におけるゼロ点エネルギーの値が近いために,局所励起状態1AC_2-h^*dと1AC_2-hd^*の間にエキシトン相互作用が生じており、またE(Ψ_+)<E(Ψ_-)であることを示している。これは,量子化学計算から得られたパラメーターを用いて算出したエキシトン相互作用の結果(V_(AB)く0)と一致する。したがって、1AC_2は電子励起状態においてweak coupling caseのエキシトン状態を形成しており、E(Ψ_+)<E(Ψ_-)であることがわかった。
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