2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規ホスト分子としてのπ電子系分子ナノチューブ類の合成、構造、および機能
Project/Area Number |
18350025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新名主 輝男 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (90037292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五島 健太 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (30380538)
芝原 雅彦 大分大学, 教育福祉学部, 助手 (60253762)
出田 圭子 九州大学, 先導物質化学研究所, 技術職員 (90380542)
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Keywords | 分子チューブ / ホストゲスト錯体 / 超分子集合体 / パイ電子系 / 電荷移動相互作用 / マクロサイクル / シクロファン / 水素結合 |
Research Abstract |
この研究で、申請者はナノチューブ独特の包接挙動を構造有機化学の立場から精密に解析するために「単分子・電子系ナノチューブ」を創製してその特異な包接挙動を明らかにするとともに、空洞の性質を利用した新しい材料としての利用を目指している。平成18年度は、ナノチューブ分子を、ゲスト分子として有機分子を包接できるマクロサイクルを構成単位と賦これらを共有結合で段階的に連結して構築する方法に基づいて合成を進めた。 1.まず、構成単位としてのマクロサイクルを分子設計して合成し、それらのゲスト包接能について調べた。ゲスト取り込みの駆動力の一つとして電荷移動相互作用を利用する目的で、電子受容性を有するピロメリット酸ジイミド骨格を基盤とするマクロサイクル類を合成し、それらが予想通り電子供与性のゲスト分子を電荷移動相互作用により空孔内に取り込むことを明らかにした(Angew.Chem.Int.Ed.2006,3643)。また、空孔の小さなマクロサイクルは、空孔の外で電子供与性のゲスト分子(ナフトール類)と電荷移動相互作用と水素結合により相互作用して興味ある分子配列を示すこと、このホスト分子のラジカルアニオンはナフトール類と中性状態の時よりもより強い相互作用を示すこと等も明らかにした(J.Org.Chem.2006,71,4723)。 2.チューブ状分子の構築法の一つとして、まず、キャップ分子を合成してからマクロサイクルと連結する方法に従い、キャップ分子を分子設計して合成した。このキャップ分子にマクロサイクルの合成前駆体を連結した後に環化(オレフィンメタセシス)してマクロサイクルを構築する予定で合成を進めている。また、エチニル基を導入したマクロサイクルとキャップ分子の連結法の開発も行っている。これらの連結法が開拓できれば、チューブ状分子の合成が可能になると期待される(成果未発表)。 3.上記研究と関連して、テトラメチルインダニルインダン骨格を光駆動部とし、光刺激によりゲスト分子の放出と取り込みが可能な新規ホスト分子の開発を行った(J.Org.Chem.2007,72,1073および印刷中)。また、パイ電子相互作用を調べるモデル化合物として多層[3.3]メタシクロファン類を合成して、構造とパイ電子相互作用の相関関係について明らかにした(J.Org.Chem.2007,72,2865)。 以上、平成18年度は予想以上の興味ある研究成果を挙げることができた。予定通りに研究は進行しており、現在、最も困難な課題であるチューブ状分子の合成法の開発に全力を注いでいる。
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Research Products
(9 results)