2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しいケイ素-遷移金属多重結合の構築と反応性の解明およびその触媒反応への展開
Project/Area Number |
18350027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飛田 博実 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (30180160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 久子 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60291085)
小室 貴士 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20396419)
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Keywords | シリレン錯体 / ヒドロシリレン錯体 / ルテニウム錯体 / タングステン錯体 / 環化付加反応 / 1,2-転位反応 / シラベンジル錯体 / 水素架橋錯体 |
Research Abstract |
(1)ヒドリド(ヒドロシリレン)ルテニウム錯体と様々な不飽和有機分子との反応 昨年度合成に成功した標記ルテニウム錯体とアルデヒド,ニトリル及びアルキンとの反応で,いずれも[2+2]環化付加反応を経由したと考えられる前例のない生成物を選択的に得た。また,エノン,イソシアナート,イソチオシアナート等とも独特の新しい反応を行うことを明らかにした。 (2)シリル(シリレン)ルテニウム錯体の合成およびその特異な反応性 以前合成に成功している鉄錯体と同様の合成法を用い,標記錯体の合成と構造解析に成功した。この錯体は鉄類縁体よりも反応活性であり,強いルイス塩基である4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を加えるとケイ素上の置換基の再配列を伴って塩基で安定化されたシリル(シリレン)錯体が,また光照射すると初めてのη^4-シラ-o-キノジメタン錯体が生成することを見出した。また,アルコールとの反応では,シリル基上のメチル基が全てアルコキシ基に置換されるという予想外の反応を見出した。 (3)アリール(シリレン)タングステン錯体のアリール基の1,2-転位反応の機構解明 DMAPで安定化されたアリール(シリレン)タングステン錯体とその異性体である(アリールシリル)タングステン錯体は,アリール基の1,2-転位を経由して可逆的に相互変換することを以前報告していた。今回,これちの錯体からトリフェニルボランによってDMAPを引き抜くことにより中間体であるη^3-シラベンジル錯体の単離と構造解析に成功し,アリール基の1,2-転位反応の機構を解明した。 (4)水素架橋ビス(シリレン)タングステン錯体の合成と構造 極めてかさ高いペンタベンジルシクロペンタジエニル配位子を支持配位子として用い,二つのシリレン配位子が水素によって架橋されたビス(シリレン)錯体の合成・単離に初めて成功し,分光学的データおよび理論計算に基づいてその構造を推定した。
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