2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁気および電気的双安定状態を備えた金属錯体と合理的設計と外場制御
Project/Area Number |
18350028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大越 慎一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (10280801)
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Keywords | 相転移 / 外場制御(光・磁気・電気) / 金属錯体 / 準安定相 / 電荷移動 / ヤーン・テラー効果 / 双安定状態 / 磁性体 |
Research Abstract |
本研究課題では,外場(磁場,電場,光)制御による新しい現象を実現するため,磁気および電気的双安定状態を備えた金属錯体の合理的設計と外場制御に関する研究を行った。 ルビジウム含有量の異なる一連の錯体RbMn[Fe(CN)_6](1),Rb_0.88Mn[Fe(CN)_6]_0.96,0.6H_2O(2),Rb_0.97Mn[Fe(CN)_6]_0.99,0.2H_2O(3)は温度ヒステリシスを伴った電荷移動相転移を示すことが明らかになった。この相転移に伴って結晶構造は高温相cubic(F43m)から低温相tetragonal(I4m2)に変化することが粉末X線構造解析から明らかになった。高温相はMn^II(S=5/2)-NC-fe^III(S=1/2)で,低温相はMn^III(S=2)-NC-Fe^II(S=0)であることが磁化測定およびIR測定よりわかった。この相転移は,Mn^IIからFe^IIIへの電荷移動およびMn^IIIが生成することによるヤーンテラー歪に由来すると考えられる。低温相は,低温下で強磁性を示すが,ここにレーザーパルスを1shot照射すると高温相に転移し磁化が消失することがわかった。さらに,錯体3では室温付近のヒステリシスループを含む常磁性領域において光照射により低温相から高温相にスイッチング可能であることがわかった。 これらの転移現象は光によって,Mn^IIからFe^IIIへの電荷移動が生じることおよびMn^IIIイオンのヤーンテラー歪に由来する双安定性によるものと考えられる。
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Research Products
(10 results)