2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18350036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 博之 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (20262850)
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Keywords | ニオブ / タンタル / アリールオキシド錯体 / 多座配位子 / ニトリド錯体 / ヒドリド錯体 / 金属間結合 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、3脚型アリールオキシド配位子[^<tBu>O_3]^<3->をもつニオブおよびタンタル錯体の反応性に関して研究を進めた。 クロリド錯体(NEt_3H)[(^<tBu>O_3)NbCl_3]と5倍等量のKBHKEt_3を反応させるとニオブ(IV)2核ヒドリド錯体[K(dme)]_2[{(^<tBu>O_3)Nb}_2(μ-H)_4](1)が得られる。錯体1は窒素分子と穏和な条件下で反応し、ニトリド錯体[K(thf)_2]_2[{(^<tBu>O_3)Nb}_2(μ-N)_2](2)が生成することを昨年度に見いだした。中心金属を同じ第5族遷移金属錯体であるタンタルに置き換えて同様に反応を検討した結果、類似のヒドリド錯体[K(dme)]_2[{(^<tBu>O_3)Ta}_2(μ-H)_4](3)が得られた。一方、タンタル化合物3は窒素雰囲気下で安定である。ニオブ錯体1と窒素分子との反応では見掛け、ヒドリド配位子が水素分子として還元的脱離している。5d金属であるタンタルは4d金属であるニオブよりも高原子価状態が安定であり、還元されにくい性質が、この反応性の差に反映されたと考えられる。 次に、錯体1と塩化ベンジルの反応を行った。一般的に、ヒドリド錯体とハロゲン化アルキルの反応では、金属上のヒドリド配位子がハロゲン配位子に置換され、C-H結合が形成される。一方、錯体1の反応ではジベンジルと[{(^<tBu>O_3)Nb}_2(μ-H)_2(μ-Cl)]^-(4)の生成が観測された。ヒドリド錯体1では、電子供与性の強いアリールオキシド配位子によりNb(IV)-Nb(IV)結合が不安定化している。その結果、M-H結合での反応より、金属間結合の電子を利用した還元反応が優先して進行したと看做すことができる。
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