2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子集合体型錯体触媒を用いるケトン類およびイミン類の不斉水素化
Project/Area Number |
18350046
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大熊 毅 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (50201968)
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Keywords | DMAPEN / IPHAN / PICA / TolBINAP / エナンチオ選択性 / ケトン / 不斉水素化 / ルテニウム錯体触媒 |
Research Abstract |
多種多様なキラル化合物の迅速かつ効率的供給を可能にする触媒的不斉合成反応の開拓は、われわれ有機合成化学者に課せられた最重要課題の一つである。高いエナンチオ選択性を実現するには、触媒反応場に優れた不斉三次元空間を構築する必要がある。合理的な光学活性配位子の設計と合成が鍵を握るが、その構造は複雑かつ大型化する傾向がみられる。幾つかの構造単位を共有結合によりつなぎ合わせて目的とする配位子を合成することになる。これに対し、本申請者は、複数のキラル構造単位を金属との配位結合により結び付ける新たな不斉反応場構築を提案した。適切な条件下、複数の光学活性配位子と金属とから、目的とする不斉反応場をもつ「分子集合体型錯体触媒」が自発的に形成されると考えた。この発想の基に、本年度は、(1)ルテニウム金属上に光学活性ジホスフィンと1,4-ジアミンをもつ触媒による環状ケトン類の不斉水素化の開拓、(2)ルテニウム金属上に光学活性ジホスフィンとアミノメチルピリジン系配位子をもつ触媒による第三級アルキルケトン類の不斉水素化の開拓を主たる目標として検討を行った。 光学活性ジホスフィンTolBINAPと、酒石酸あるいはマンニトールから誘導される光学活性1,4-ジアミンのIPBANあるいはIPHANを配位子とするルテニウム錯体を合成し、触媒として用いることで1-テトラロン等の環状ケトン類の高エナンチオ選択的水素化に成功した。また、TolBINAPとα-ピコリルアミンを配位子とする錯体が、第三級アルキルケトン類等のかさ高い置換基をもつカルボニル化合物の不斉水素化に極めて有効であることを見出した。さらに、TolBINAPと光学活性N,N-ジメチル-1,2-ジアミンのDMAPENを配位子とする錯体が、α位分枝芳香族ケトン類の水素化において極めて高い立体選択性と基質一般性を示すことも明らかにした。
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Research Products
(10 results)