2006 Fiscal Year Annual Research Report
小さな遷移金属と大きな配位子で実現する酸化的環化反応
Project/Area Number |
18350051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生越 専介 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30252589)
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Keywords | ニッケル / 酸化的環化 / 有機アルミ / 触媒反応 / 有機金属 |
Research Abstract |
ジエンとニッケルの反応は古くから研究されており、η^<3->アリルニッケル錯体を与える反応が広く知られている。しかし、ジエンとアルデヒドからの錯体生成の例はなく我々はこの組み合わせからの錯体合成を検討した。多様なジエン、アルデヒドの組み合わせにおいて、容易に生成物を単離することができた。このうち、2,3-ジメチルブタジエンとブタナールから得られた錯体の反応性を検討した。ジメチル亜鉛との反応ではメチル基がニッケルに結合した、形式的にはトランスメタル化が進行した型の錯体がほぼ定量的に生成した。この錯体も単離することが可能であり元素分析もよい一致を示す。これを加熱すると還元的脱離によって亜鉛化合物が生成した。加水分解するとホモアリルアルコールが得られる。これは、既に報告されているジエン、アルデヒドと有機亜鉛のニッケル触媒による多成分カップリングが本反応経路で進行していることを強く示唆している。 潜在的に不飽和炭化水素であるシクロプロパン環とカルボニル基を同一分子内に有する分子としてシクロプロピルケトンを用いてニッケラサイクル生成を試みた。シクロプロピルフェニルケトンを室温にてNi(cod)_2,PCy_3と反応させるとカルボニル基がニッケルに対してπ配位した錯体が効率よく発生した。その後、シクロプロパン環が開環し続いて二量化により六員環ニッケラサイクルが生成した。本反応はケトン部のπ配位を足がかりにしてシクロプロパン環の炭素-炭素結合を開裂させたものでありカルボニル基はシクロプロパン環をニッケル上に誘導する役割も担っている。六員環ニッケラサイクルにエノンを反応させるとエノンの挿入が起こりオキサπ-アリルニッケル錯体が得られた。なおこの研究成果は、Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,6788-6790.にてHighlightsに取り上げられた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Sandwich complexes containing bent palladium chains2006
Author(s)
Tatsumi, Y., Shirato, K., Murahashi, T., Ogoshi, S., Kurosawa, H.
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Journal Title
Angewandte Chemie, International Edition 45・35
Pages: 5799-5803