2007 Fiscal Year Annual Research Report
小さな遷移金属と大きな配位子で実現する酸化的環化反応
Project/Area Number |
18350051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生越 専介 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (30252589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 慎一 名古屋市立大学, 薬学研究科, 准教授 (90254309)
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Keywords | ニッケル / 酸化的環化 / アルミニウム / 触媒反応 / 有機金属 |
Research Abstract |
酸化的環化反応は、1段階で一気に3つの結合をつくる効率のよい反応であり多様な触媒反応の鍵課程として提案されてきた。これまでには、アルキン類、アルケン類とアルデヒド、ケトン、エノン類との反応を検討してきた。この過程において、アルデヒドとアルキン類との反応において、これまでは触媒反応の中間体として提案されていた型の錯体を単離同定することに成功した。 この錯体の構造はX線構造解析により決定した。この錯体はTHF中においてゆっくりと分解してα,β-不飽和ケトン(エノン)を与えた。この結果は、ニッケル触媒によるアルキンのヒドロアシル化反応の反応過程が従来あまり考えにくいものとして提案されていた反応機構が正しことを示す重要な知見を与えた。さらには、この錯体とジメチル亜鉛との反応においては、3成分カップリング反応の中間体としてこの錯体が作用していることをも明らかにした。この場合には、中間体錯体とジメチル亜鉛だけでは生成物はほとんど得られずに、基質であるアルデヒドが反応系中に存在しているときに目的とする生成物が得られたことは非常に興味深い結果である。このほかにも、アルキンとイミンから得られたヘテロニッケラサイクルも同様の反応を示すことも分かってきた。さらに、この場合は[2+2+2]環化付加反応が触媒的に進行しジヒドロピリジンを与えるとともに、反応鍵中間体として機能していることが明らかになった。これらは、本研究計画によって得られた成果であり、目的とした錯体が多様な反応性を示すことを意味している。
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Research Products
(16 results)