2007 Fiscal Year Annual Research Report
π-電子受容性炭素配位子による遷移金属触媒の反応制御と有機合成反応への応用
Project/Area Number |
18350052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神戸 宣明 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (60144432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 潤 京都大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00322173)
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Keywords | 銅触媒 / ニッケル触媒 / エンイン類 / ビニルグリニャール試薬 / 二量化 / クロロシラン / 環状エーテル |
Research Abstract |
銅錯体を利用する触媒反応 前年度は、添加剤として1-フェニル-1-プロピンを用いることにより、塩化アルキルによるクロスカップリング反応が効率よく進行することを明らかにした。本反応の更なる効率化を目指して、種々配位子を検討した。その結果、2級及び3級アルキルグリニャール試薬を用いた場合に、ジエン及びエンイン類は配位子として働くのではなく、これらに対するカルボマグネシウム化反応が効率よく進行することを見出した。本手法では複雑な炭素骨格を有するアリル及びアレニルグリニャール試薬を容易に調整することが可能である。また、生成した付加体を種々の親電子剤で捕捉することにより、様々な置換アリル化合物及びアレンの合成が可能であることを示した。親電子剤としては、臭化アルキル、クロロシラン、エノン、酸ハロゲン化物、二酸化炭素等が利用可能であることを示した。 ニッケル触媒を用いるビニルグリニャール試薬の二量化カップリング反応 ビニルグリニャール試薬と塩化ニッケルとの反応により、ブタジエンと一つのビニル基を有するアート型ニッケル錯体が生成すること、およびこの錯体が反応系中で種々の環状エーテル類により効率よく捕捉される事を見出した。この反応は、末端のフィンの生成手法として合成化学的に応用可能であると期待される。 チタン触媒を用いる新触媒反応の開発 チタノセン錯体を触媒として用い、種々のグリニャール試薬とアルキルハライド類との反応を検討したところ、ビニルグリニャール試薬を用いた場合に、ビニル基のカップリングとアルキル化が連続的に進行し、アリルグリニャール試薬が効率良く生成することを見出した。この反応の機構について検討し、チタン錯体からアルキルハライドへの電子移動により生成するラジカル中間体を経て進行している可能性が高いことを示した。
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