2007 Fiscal Year Annual Research Report
クロスカップリングの新方法論:炭素-炭素結合の切断と生成
Project/Area Number |
18350053
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20183626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 哲也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40273586)
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Keywords | 合成化学 / クロスカップリング / 炭素結合 / 遷移金属触媒 / パイ共役分子 |
Research Abstract |
近年、様々な機能性分子材料や生理活性物質の合成と相まって、効率のよい新規な結合形成反応の開発が、ますます重要な研究課題となっている。本研究では、研究代表者らが最近見出した、炭素-炭素結合および炭素-水素結合の切断と炭素-炭素結合の生成を含む、芳香族化合物や不飽和化合物の新しいいくつかの触媒的カップリング反応を系統的に精査し、より高効率かつ選択的な合成手法へと展開を図るとともに、関連する新規反応の開拓を行うことを目的とする。交付申請書に記した様に、昨年度に続きまず一連の、カルボキシル基やヒドロキシル基を有する芳香族基質およびアルケン、アルキン類を用い、いくつかの後周期遷移金属錯体存在下での触媒反応を検討した。昨年度見出した、芳香族カルボン酸類と内部アルキンとの反応に加え、その展開としてのトリアリールメタノールを基質に用いる反応を行ったところ、ロジウム触媒および銅酸化剤存在下、炭素-炭素結合および炭素-水素結合の切断を伴う1:2カップリングによるナフタレン誘導体の生成が選択的に起こることが明らかとなった。この反応には、ロジウム触媒配位子として多置換シクロペンタジエンが有効であることがわかった。一方、インドール等のヘテロ芳香族カルボン酸を基質に用いたアルケンによるビニル化反応では、パラジウム触媒および銅酸化剤存在下、カルボキシル基の隣接炭素で選択的に反応が進行した。この反応では、炭素-炭素結合切断を伴う脱カルボキシル化を伴い、結果として通常の直接反応とは異なる置換パターンの生成物を与えた。これはカルボキシル基が配向基ならびに脱離基として機能することを示す結果であり、極めて興味深い。これら以外の関連するいくつかの芳香族カップリング反応についても検討し、成果を論文発表した。
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Research Products
(17 results)