2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しいオレフィン系ポリマーの精密合成を可能とする高性能チタン錯体触媒の創製
Project/Area Number |
18350055
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 准教授 (20304165)
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 精密重合 / チタン錯体触媒 / 配位子設計 / 新規ポリマー / エチレン系ポリマー / 均一系触媒 / 機構解析 |
Research Abstract |
本課題は、従来の遷移金属触媒による配位重合で達成できない新しいオレフィン系ポリマーの創製・精密合成を指向し、高性能分子触媒の設計指針の確立とオレフィンの相対反応性の知見の確立、合成したポリマーの構造・特性解析を主目的としている。平成20年度の成果は以下の通りである。 報告者が見出したアリロキソやケチミド配位子を有する非架橋ハーフメタロセン型チタン錯体触媒を用いると、従来触媒では極めて困難な、エチレンとトリアルキルシリル基を有するオレフィンとの共重合がはじめて効率よく進行した。また、フェノキシ配位チタン錯体触媒のシクロペンタジエニル配位子上の置換基の修飾により、エチレンとtert-ブチルエチレン(TBE)との共重合がはじめて進行した。アリルトリメチルシラン(ATMS)と1-ヘキセンとの共重合が効率よく進行することから、ATMSの挿入が(1-ヘキセンなどと同じ)1,2-挿入で進行することを明らかにした。 これは従来触媒とは異なる傾向で、共重合におけるATMSとTBEとの間に見られるモノマー反応性の違いは、上述の共重合の結果より、挿入形式による違いではなく、配位エネルギー(配位能力の違い)の違いに起因することを明らかにした。 アリロキソ及びケチミド配位錯体と架橋ハーフメタロセン型錯体を用い、エチレンと各種置換エチレン(ペンテン)との共重合を詳細に検討し、モノマー反応性への配位子効果に関する知見をまとめた。特にアリロキソ配位錯体では、従来触媒では極めて困難な3メチル1ペンテンとの共重合がはじめて効率よく進行した。
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