Research Abstract |
ルイス酸-アミン反応剤は,従来塩基法とかなり異なる反応性・選択性を示す.その一環として,これまで独自のTi-Claisen縮合・aldol付加を開発してきた.これを利用し,有用な天然物・香料・医薬・新規ファインケミカルズの合成への短段階・実用的合成への応用を行ってきた.これらは現在,実験室では使われており,工業化も検討中である. 最近,これまで未踏領域であった交差型不斉Ti-Claisen縮合,さらに類型のaldol付加,Mannich付加,脱水型Claisen縮合に展開できる見込みを得た.その性能は,ほぼ100%交差選択性,>95%立体制御ができる.この方法は,テンプレート効果を利用する不斉合成で,予想以上の一般性を持つことが分かった.基質は極めて合成容易で,不斉助剤も完全に回収できる.この様に合成適応範囲を格段に向上させ,これを駆使し特異機能分子すなわち,医農薬・香料などの有用ファインケミカルズや複雑な構造を有す生理活性天然物の短段階効率的不斉全合成を進行中である. 今年度は上述の反応群の一般化を確立した.すなわち,基質・反応剤の当量関係,添加順序,他の反応条件を確定した.これを利用し,Anti-MRAS carbapenem, Alternaric acidの基本骨格の合成に成功した. 来年度から,React-IRを駆使し詳細な反応メカニズムを解明する.さらに上述の天然物全合成を完成を目指す.加えて, (+)-Camptothecin, (-)-Azaspirene,(+)-Omurahde, (+)-Cortizoneなどの有用分子・アナログの短段階実用合成への応用を計画する. これらのconvergentな方法論を用い,光学活性α-ヘテロ原子置換ブロックの実用的合成法を確立し,大学や企業で利用できるレヴェルまで今後引き上げる.
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