2006 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー勾配に逆らった励起子伝達の機構解明とその応用
Project/Area Number |
18350067
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
秋本 誠志 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 助教授 (40250477)
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Keywords | 時間分解 / 蛍光 / 光合成 / カロテノイド / クロロフィル / タンパク質 / 偏光 |
Research Abstract |
本研究における基本的な実験は、分子配列系に取り込まれた各分子から充する蛍光の時問変化、スペクトル変化をピコ秒時間分解蛍光分光法、および、フェムト秒時間分解蛍光分光法により観測を行うことにある。ピコ秒時問分解蛍光観測システムについては、分光器、時間相関シングルフォトンカウンティングモジュールを構入し、本研究に特化したシステムを制作した。また、フェムト秒領域の測定には、ミラー、光学フィルター等の光学部品、電子部品、を新たに購入し、蛍光アップコンバージョン法を用いた観測システムを新たに製作中である。 本年度は、ホウレンソウの光化学系II粒子および光化学系II反応中心(いずれもクロロフィルaが主要色素)、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803の光化学系IIコア複合体(クロロフィルαが主要色素)、クロロフィルdを主要色素として持つシアノバクテリアAcaryochloris marinaの光化学系II複合体について、反応中心における電荷再結合過程に肴目し、ピコからナノ秒領域における時間分解蛍光スペクトルおよび遅延蛍光に関する考察を行った。いずれの光合成生物においても、遅延蛍光は680nm近辺のクロロフィルa蛍光から観測された。近くにより低いエネルギーを持つクロロフィルが存在するにも関わらず、遅延蛍光は反応中心に存在するクロロフィルaから発せられていることがわかった。このクロロフィルaの近辺ではエネルギーの勾配に従ったエネルギー移動が起きていないことになり、今後、分子の配向を考慮し検討を行う必要があることが示唆された。
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