2007 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー勾配に逆らった励起子伝達の機構解明とその応用
Project/Area Number |
18350067
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
秋本 誠志 Kobe University, 分子フォトサイエンス研究センター, 准教授 (40250477)
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Keywords | 時間 / 蛍光 / 光合成 / カロテノイド / クロロフィル / タンパク質 / 偏光 |
Research Abstract |
本研究における基本的な実験は、分子配列系に取り込まれた各分子から発する蛍光の時間変化、スペクトル変化をピコ秒時間分解蛍光分光法、および、フェムト秒時間分解蛍光分光法により観測を行うことにある。 ホウレンソウ(クロロフィルaが主要色素)、シアノバクテリアSynechocystis sp.PCC6803(クロロフィルaが主要色素)、および、シアノバクテリアAcaryochloris marina(クロロフィルdが主要色素)の光化学系II反応中心における遅延蛍光の観測を行った。いずれの光合成生物においても、遅延蛍光は680nm近辺のクロロフィルa蛍光から観測された。近くにより低いエネルギーを持つクロロフィルが存在するにも関わらず、遅延蛍光は反応中心クロロフィルaから発せられていることがわかった。 緑藻ミルの色素タンパク複合体が持つ吸収帯の同定を行った。カロテノイドの一種、シフォナキサンチンがタンパク質と相互作用をすることにより緑色光を吸収する機能を持つことがわかった。エネルギー移動過程は励起波長依存性を示す結果が得られた。 始原的シアノバクテリアGloeobacter violaceusが持つ特殊な配置を持つフィコビリゾームにおけるエネルギー移動過程について検討した。ユニット間にエネルギートラップとなる色素が存在し、フィコビリゾーム全体でのエネルギー効率が低下していることがわかった。 常緑樹イチイにおけるエネルギー移動過程の季節変化について考察した。
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