2008 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー勾配に逆らった励起子伝達の機構解明とその応用
Project/Area Number |
18350067
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
秋本 誠志 Kobe University, 分子フォトサイエンス研究センター, 准教授 (40250477)
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Keywords | 時間 / 蛍光 / 光合成 / カロテノイド / クロロフィル / タンパク質 / 偏光 |
Research Abstract |
本研究における基本的な実験は、光合成色素タンパク質複合体や人工分子配列系に取り込まれた各分子から発する蛍光の時間変化、スペクトル変化をピコ秒、および、フェムト秒時間分解蛍光分光法により観測を行うことにある。 シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803(クロロフィルaが主要色素)の光化学系II反応中心、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803のCP43欠落株、および、シアノバクテリアAcaryochloris marina MBIC11017(クロロフィルdが主要色素)の光化学系I粒子における励起緩和ダイナミクスの観測を行った。クロロフィルaで構成される光化学系の反応中心や低エネルギークロロフィルにおける電子伝達・励起エネルギー伝達を考察した。また、クロロフィルdで構成される光化学系Iの低エネルギークロロフィルから発せられる蛍光シグナルを同定した。 緑藻ミルが持つカロテノイド、シフォナキサンチンの励起緩和ダイナミクスを観測した。タンパク質と相互作用をすることにより緑色光を吸収する機能を持つこと、クロロフィルへのエネルギー移動過程がシフォナキサンチンの最低励起電子状態の振動励起状態から起こりえることがわかった。 亜鉛テトラフェニルポルフィリン-γ-デキストリン連結分子に着目し、水/エタノール混合溶媒に溶解させることにより、分子配列系の構築を試みた。高濃度にすることによりソーレ帯の低エネルギー領域に新たな吸収を生じさせ、光エネルギーの捕集に寄与させることができることがわかった。
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