2006 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン内包多原子クラスターがフラーレンケージに与える電子物性変化の解明
Project/Area Number |
18350068
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
日野 照純 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10105827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 隆文 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (70260156)
久保園 芳博 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (80221935)
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Keywords | 電子状態 / 光電子分光 / FET / フラーレン / ナノネットワーク / 有機導電体 |
Research Abstract |
Ti_2@C_<80>と思われていた内包フラーレンは理論計算に依れば、D_<3h>(5)-Ti_2C_2@C_<78>と考えた方が妥当であり、前回の報告書でLa_2@C_<78>も同じD_<3h>(5)ケージ構造をとるが両者の電子状態は大きく異なることを示した。また、通常のフラーレンでは同じケージ構造をとる場合、同じような電子構造を持つので、これらC_<78>ケージに内包されたフラーレンは特異なケースであることを示唆した。この原因を探るために、LDA近似に基づく密度汎関数の計算を行い、波動関数の分布め様子を検討した。この結果、いずれのフラーレンでもHOMO軌道はフラーレンケージの子午線上(内包された2個の金属原子が居る平面を赤道面として)に分布しており、波動関数の分布に相違はない。しかし、両者のHOMO-1軌道分布は大きく異なっていた。La_2@C_<78>のHOMO-1ではほぼケージ上全体に波動関数が分布しているだけであるが、Ti_2C_2@C_<78>ではケージ上ばかりでなくケージの内部の方に深く波動関数が張り出していることが判明した。これは、この軌道が内包された金属原子の軌道と相互作用を起こし混成軌道を形成していることを意味する。これらのことから、Ti原子が内包されたフラーレンは特異的であり、Ti原子はケージを構成する炭素原子と軌道混成を形成し、ケージの電子状態に大きな変動を与えたものと思われる。 また、Erを内包したフラーレンEr@C_<82>(I)やEr_2@C_<82>(III)とEr_2C_2@C_<82>(III)やLuを内包したフラーレンLu_2@C_<82>(II)やLu_2C_2@C_<82>(II)の測定も行ったが、まだ解析は完了していないため、詳細については今後の研究が必要である。 さらに、金属内包フラーレンを用いたFET特性についての検討も行った。
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Research Products
(4 results)