2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機・無機複合錯体による動的スピンクロスオーバー現象とその分子システムへの展開
Project/Area Number |
18350069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 憲道 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60149656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 真哉 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (70345065)
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Keywords | 有機・無機複合錯体 / スピンクロスオーバー / 外場応答性 / 光誘起磁性 / 光異性化分子 / 機能性錯体膜 / 電荷移動相転移 / 強磁性 |
Research Abstract |
有機物質から無機物質にわたるヘテロ分子集合体は、多様な電子状態による集合体として、従来の有機化合物や無機化合物が単独では実現できなかった高次機能性を発現させる可能性を内包している。本研究では、光応答性を示す光異性化分子(スピロピラン等)や高いプロトン伝導を有するイオン交換膜(ナフィオン、フレミオン等)など外場に応答する有機物質と特異なスピンクロスオーバー現象を示す金属錯体を組み合わせたヘテロ分子集合体を構築し、構成分子だけでは発現することのできない動的スピンクロスオーバー現象を有機・無機複合錯体で発現させ、これを分子システムに展開することを目的として、以下の研究を行った。 (1)水素イオン濃度応答性錯体膜:ナフィオンを基質として、その内部空間において鉄(II)イオンをかご型配位子であるdiAmsarと組み合わせ、pHに応じて可逆的に色を変化させることのできる錯体膜を合成した。また、用いた配位子はアミン部位においてpHに応答して配位子場を変化させることができ、プロトン伝導性膜であるナフィオン中では、電場によるプロトン移動に対してこの配位子が応答することでスピン状態をプロトン濃度に応じて時空間的に変化させることを試みた。今回用いた電圧では、プロトン勾配に応じた色の変化は観測できなかったが、印加電圧を上げることで、プロトン伝導を誘起し、錯体の状態を時間的、空間的に制御するために有望な物質を開発することができた。 (2)固体の中で光異性化反応を示すイオン性フォトクロミック分子の合成を行い、カチオン化したスピロピラン(SP)を挿入した2次元鉄混合原子価錯体(SP)[Fe^<II>Fe^<III>(dto)_3](dto=C_2O_2S_2)をこれまでに開発してきたが、この物質は大きなバッジ依存性を示し、その原因を解明する必要があった。最近、この物質の合成時の温度が決定的な要因となっていることが明らかになり、本物質の特異な光誘起磁気転移の機構に関して、大きな知見が得られた。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Charge-transfer phase transition and ferromagnetism of iron mixed-valence complexes (n-C_nH_<2n+1>)_4N[Fe^<II>Fe^<III>(dto)_3] (n=3-6; dto=C_2O_2S_2)2006
Author(s)
Itoi, Miho, Ono, Yuuki, Kojima, Norimichi, Kato, Kenichi, Osaka, Keiichi, Takata, Masaki.
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Journal Title
European Journal of Inorganic Chemistry
Pages: 1198-1207
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[Journal Article] A Binuclear Fe(III)Dy(III) Single Molecule Magnet Quantum Effects and Models2006
Author(s)
Ferbinteanu, Marilena, Kajiwara, Takashi, Choi, Kwang-Yong, Nojiri, Hiroyuki, Nakamoto, Akio, Kojima, Norimichi, Cimpoesu, Fanica, Fujimura, Yuichi, Takaishi, Shinya, Yamashita, Masahiro
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Journal Title
Journal of the American Chemical Society 128
Pages: 9008-9009
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