2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機・無機複合錯体による動的スピンクロスオーバー現象とその分子システムへの展開
Project/Area Number |
18350069
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 憲道 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60149656)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 真哉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70345065)
|
Keywords | 有機・無機複合錯体 / スピンクロスオーバー / 外場応答性 / 光誘起磁性 / 光異性化分子 / 機能性錯体膜 / 電荷移動相転移 / 強磁性 |
Research Abstract |
有機物質かり無機物質にわたるヘテロ分子集合体は,多様な電子状態による集合体として,従来の有機化合物や無機化合物が単独では実現できなかった高次機能性を発現させる可能性を内包している。本研究では,光応答性を示す光異性化分子(スピロピラン等)や高いプロトン伝導を有するイオン交換膜(ナフィオン,フレミオン等)など外場に応答する有機物質と特異なスピンクロスオーバー現象を示す金属錯体を組み合わせたヘテロ分子集合体を構築し,構成分子だけでは発現することのできない動的スピンクロスオーバー現象を有機,無機複合錯体で発現させ,これを分子システムに展開することを目的として,以下の研究を行った。1.水素イオン濃度応答性錯体膜:昨年行った,ナフィオンの内部空間において鉄(IIイオンをかご型配位子であるdiAmsarと組み合わせ,pHに応じて可逆的に色を変化させることのできる錯体膜の合成と対比させる目的で,内容物であるdiAmsar-Fe錯体の酸性,塩基性,中性溶液中での磁気挙動を観測するために溶液の磁化率測定手法を開発し,測定を行った。その結果,液性に依存したスピンクロスオーバー挙動を観測することに成功した。2.固体の中で光異性化反応を示すイオン性フォトクロミック分子の合成を行い,カチオン化したスピロピラン(SP)を挿入した2次元鉄混合原子価錯体(SP)[Fe^IIFe^III(dto)_3](dto=C_2O_2S_2)をこれまでに開発してきたが,合成条件の確立に伴い粉末X線解析に堪える質のサンプル合成に成功し,現在論文作成を行っている。
|
Research Products
(9 results)