2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体物質およびその関連物質を用いた発光ダイオードの作成、物性測定
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18350070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 裕之 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60207032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 真生 東京大学, 物性研究所, 助手 (80376649)
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Keywords | 生体機能性物質 / 電界発光 / ポルフィリン / フタロシアニン / 分子素子 / 光起電力 / 有機伝導体 / 分子デバイス |
Research Abstract |
(1)heminを用いて作成した発光デバイスは電圧印加時に発光スペクトルの変化が起こることを以前の研究で見出している。[実績報告書 業績2]昨年度の研究の結果、この電圧誘起相転移に伴って、ポルフィリン分子の配向が、無配向から基盤に分子面に垂直になるように変化していることがわかった。この結果は、現在論文投稿を目指して、データのとりまとめを行っている。 (2)cytchrome cを用いて作成した、発光デバイスが幅の広い発光を示すことを以前報告したが、この発光は注入されたキャリアの電極での発光であることを明らかにした。 (3)ポルフィリン錯体の電界発光測定 生体物質に類似の構造を有するM(TPP)[M=Cu,Zn]を用いた単層型電界発光素子(/ITO/M(TTP)/Al/)を作成し、実験をおこなった。この素子では、M(TPP)とITOが接触する側で、オーミック接合ができている。その結果、Zn(TPP)を用いた素子で、電圧により発光スペクトルの形状が変わる現象を見出した。この現象は、電荷注入により生じる励起子が低電界では二重項であったのが、高電界では一重項となることを示唆していると考えられる。電界発光における励起子生成過程は、未だに不明の点も多く、本物質の研究を通して、この過程を明らかにしたいと考えている。 (4)極低温、強磁場中の光起電力測定 有機薄膜デバイスの一種である、ポリマー太陽電池を作成し、光変調に対する光電流応答を調べたところ、温度依存性、磁場依存性に著しい変化を見出した。さらに光電流応答の磁場効果は、変調周波数が高いほど大きいことがわかった。ちなみに極低温で、ポリマー太陽電池の電流電圧特性の実験を行ったのは本研究がはじめてである。光起電力は、電界発光のちょうど逆の現象であり、生体物質を用いて類似の実験を行うことを現在計画中である。
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