2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造金属薄膜・微粒子による高効率増強光化学プロセスの開発とデバイス応用
Project/Area Number |
18350072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 三津夫 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50111927)
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Keywords | 増強光学素子 / 蛍光増強 / 表面プラズモン / 光電変換 |
Research Abstract |
1.光応答性薄膜の光吸収率の増強素子開発に関する実績 ガラスなどの透明基板表面に吸着または担持した際の最大光吸収率が3%未満の色素層を対象に、この吸収率を10倍以上に増強する新規な増強素子の開発を行った。用いた構造は、100nm以下の表面粗さを有する特殊なスパッタ銀膜を最下層とし、これに厚さ80nm程度の中間透明層を介して光吸収層を重ねた光散乱型拡張三層構造である。同スパッタ銀膜は、銀のナノ構造に特有の表面プラズモン散乱を発現し、この散乱光と入射光との干渉による電場増強、散乱光の内部全反射による閉じ込め効果が相乗的に機能することにより、広い波長範囲で目的を上回る、最大15倍程度の光吸収率の増強を実現した。 2.高効率発光増強素子の開発に関する実績 銀ナノ粒子の表面プラズモン共鳴を介した分子蛍光の増強はよく知られているが、この作用は一般的に強い近距離性に制限され、金属表面から10nm程度の距離でしか働かない。本研究では、その周辺部にナノ構造を有したミクロ金属微粒子を利用することにより、孤立したナノ粒子には期待できないバルク的な表面プラズモンモードの励起が可能になり、このプラズモン励起を介して、表面から数百nmもの長距離に置かれた分子の発光が強く増強されることが明らかになりつつある。 3.光電変換素子の開発に関する実績 二種類のシアニン色素を混合した単層J凝集体を20Å程度のスペーサーを介して金表面に担持した電極を用いた湿式太陽電池のモデル系を作成し、その光電変換機能を調べた。混合によりJ凝集体の励起状態から速やかな電荷分離が生じ、金属のごく近傍に置かれた色素にも関わらず、20%以上の内部量子収率が達成できることがわかった。
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Research Products
(1 results)