2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロトンー電子連動系の理論設計による非破壊読み出し可能な量子光メモリーへの新展開
Project/Area Number |
18350074
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三好 永作 Kyushu University, 総合理工学研究院, 教授 (70148914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田所 誠 東京理科大学, 理学部, 准教授 (60249951)
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Keywords | 光スイッチ / 分子素子 / 超分子化学 |
Research Abstract |
プロトンー電子連動系の理論設計による非破壊読み出し可能な量子光メモリーの創成ということで,以下のような研究実績を挙げた.まず,プロトンー電子連動系の無機分子[Co(Hbim)(C_6H_4O_2)(NH_3)_2]_2を理論設計し,その分子が多重な安定状態(^1A_g,^5A_1および^9A_g状態)を持つことをB3LYPレベルの密度汎関数計算により確かめた.さらにこの分子の電子状態と振動状態を詳しく調べ,振動による赤外領域の吸収では^1A_g,^5A_1および^9A_g状態で,それぞれ,2690,2120,2770cm^<-1>で非常に強い吸収があり,中間スピン^5A_1状態が他の2つの状態に比べて際立っていることを明らかにした.,2120cm^<-1>付近の赤外光をプローブ光としてその吸収の有無を調べることで中間スピン^5A_1状態と他の2状態を区別出来ることを示している.また,これらの状態間の遷移が可視・紫外光を照射することによって,比較的容易に進行し得ることを状態間のスピン軌道カップリング定数を理論計算により明らかにした.記録の書き込みが可能であることを示している.これらのことは無機分子[Co(Hbim)(C_6H_4O_2)(NH_3)_2]_2が量子光メモリーの候補となりうることを強く示唆するものである. 実験的には,まず2種類の配位子のみからなる化合物[Ru^<III>(SQ)_2(Hbim)]_2の合成を行った,この分子の生成はIRスペクトルと質量スペクトルにより確認し,さらにこの化合物の結晶化に成功した.現在は,この結晶の物性を評価している.
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Research Products
(3 results)