2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機磁性体におけるナノスケールスピン構造の制御と特異な磁性発現
Project/Area Number |
18350076
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
細越 裕子 Osaka Prefecture University, 理学系研究科, 准教授 (50290903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 禎文 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教 (00405341)
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Keywords | 有機ポリラジカル / 量子効果 / 高スピン種 / 分子磁性 / 低次元磁性 / ナノクラスター |
Research Abstract |
本研究は、分子内に複数のラジカル基を有する有機ポリラジカルの分子内磁気相互作用を高度に制御することで、種々のスピンサイズを持つナノスケールスピンクラスターを合成し、新奇な量子現象の発現を目指すものである。本年度は、環状3スピン系および4スピン系化合物について検討した。主な成果を列挙する。 (1)3つのラジカル部位を反強磁性相互作用で環状に連結することで、隣接スピン間で磁気相互作用が競合する幾何学的スピンフラストレーション系化合物の合成に成功した。TNN・CH3CNが三次元的スピンフラストレート系物質であること、0.5Kまで磁気秩序を起こさないことを見出した。分子を非磁性マトリックス中に分散させることで、分子内磁気相互作用の同定を行っている。分子内および分子間相互作用を同定するために、静磁化率測定に加え、磁化過程の測定も行った。また、類縁化合物の合成と低温磁気測定も進めつつある。(2)環状4スピン系化合物BIP-TENOは非自明な磁化プラトーを示すことから、系の対称性の低下が示唆され、また次近接相互作用による量子化機構が理論的に提案されている。類縁化合物との混晶の作成に成功し、磁気測定を行った。磁性不純物置換によってスピンギャップが小さくなることを見出した。量子化機構を考察するために非磁性不純物との混晶作成も試みた。スピンギャップと不純物濃度の相関が明らかになりつつあるが、磁性種依存性については、不純物濃度を詳しく検討する必要がある。(3)スピン-格子結合系F5PNNの類縁化合物F4PNNの合成と単結晶作成に成功した。F4PNN結晶が低温において磁化率異常を示すことを明らかにした。(4)低温磁場中誘電率測定基板を試作した。
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