2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機磁性体におけるナノスケールスピン構造の制御と特異な磁性発現
Project/Area Number |
18350076
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
細越 裕子 Osaka Prefecture University, 理学系研究科, 准教授 (50290903)
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Keywords | 分子磁性 / 有機ラジカル / 量子スピン / 整数スピン / ポリラジカル / スピンクラスター / 磁気相互作用 / 結晶構造 |
Research Abstract |
本研究は、有機ポリラジカルを用いた高スピンクラスターの合成と磁気測定を行い、量子効果のもたらす特異な磁性現象の観測を行なうものである。有機ポリラジカルアプローチを利用して、系統的にスピン数、クラスターサイズを変化させることで、また、多角的に物性測定を行うことで、磁気相互作用と量子効果の関連を探り、磁性発現機構の解明と量子効果の本質の理解を目指した。最終年度の本年の主な研究成果を以下に列挙する。 (1)2スピン系のF2PNNNOの量子効果として、磁化の消失(スピンギャップ)、磁化の量子化(磁化プラトー)を既に報告したが、これら二相の中間領域で磁場誘起反強磁性相転移を起こすことを明らかにした。量子相転移としての特質をNMR・比熱測定から検証し、マグノンのボーズ・アインシュタイン凝縮として理解した。 (2)環状4スピン系のBIP-TENOはS=1の梯子鎖を形成するが、これをS=1/2の二量体分子BIP-BNOで希釈した(BIP-TENO)1-x(BIP-BNO)xを作製し、その磁性を調べた。微量の不純物置換(x=0.01〜0.06)によって、構造転移温度の低下・温度履歴を有する強磁性クラスター成分の出現が見られた。0.5Kまでの磁化測からスピンギャップの大きさが減少することを見出した。 (3)新しいヘテロラジカル種の開発としてt-ブチルニトロキシドとフェルダジルのビラジカルの合成を行った。 また、低温磁場中(2K,5T)での電気伝導度・誘電率測定システムを作製し、DCNQI誘導体について適用した。
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[Journal Article] A New Ferrimagnet Based on a Radical-substituted Radical Cation Salt2009
Author(s)
Y. Masuda, M . Kuratsu, S. Suzuki, M. Kozaki, D. Shiomi, K. Sato, T. Takui, Y. Hosokoshi, X. Lan, Y. Miyazaki, A. Inaba, K, Okada
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc. 131
Pages: 4670-4673
Peer Reviewed
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