2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子設計による自己組織化制御とそれを利用した新規ナノ機能材料創製
Project/Area Number |
18350077
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松本 睦良 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (00358053)
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Keywords | 自己組織化 / LB膜 / 相分離 / パターニング |
Research Abstract |
本研究では分子の自己組織化を利用したボトムアップ法を用いたナノ物質創製を行い、その構造と機能を明らかにすることと、構造制御、機能制御を行うことによるナノ機能材料創製を目的とした。ナノ構造の作製のためにLB膜における相分離を利用した。これまでフッ化炭素鎖を有する両親媒性分子と長鎖脂肪酸からなる混合LB膜の相分離構造に関する検討が行われてきており、マイクロメートルサイズの円形ドメインの形成が報告されている。そこで、ナノメートルサイズの相分離構造を作製するために、混合の自由エネルギー変化が正で、かつその値が小さい系の実現を図った。部分的にフッ化炭素鎖が導入された疎水基を有するハイブリッドカルボン酸を系統的に合成し、長鎖脂肪酸との混合LB膜を作製したところ、混合する二種類のカルボン酸の構造と成膜条件の調整により、ナノワイヤの形成に成功した。二次元の相分離が起こり片方の分子がドメイン構造を形成する時、そのドメイン形状とサイズはドメイン境界の線張力と双極子-双極子相互作用という二つの競合する相互作用により決定される。前者はドメイン境界の長さの総和を小さくしようとする効果を持つため大きな円形ドメインの形成を有利とする。後者は分子間距離を大きくしようとする効果を持つため、ドメインは小さく、細長くなる。分子間相互作用が線張力に与える効果を考慮することにより、本研究におけるナノ構造の形成を説明することができた。さらにテンプレート作製のためには、混合する成分の一つとしてシランカップリング剤を用いる必要がある。予備的な検討段階ではあるが、この系においてもナノ構造の形成が認められた。
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