2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子インプリント法を用いた有害微生物DNAの簡便な検出システムの開発
Project/Area Number |
18350080
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
箕浦 憲彦 Tokyo University of Technology, バイオニクス学部, 教授 (10358111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 外志夫 産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, 副センター長 (70357250)
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Keywords | 分子インプリンティング / 高分子ゲル / 電気泳動 / 核酸 / 塩基配列 / 分子認織 / 分子鋳型 / ベロ毒素 |
Research Abstract |
前年度に設計及び仕様決定した、分子インプリンティングポリマー(MIP)ゲル材料を泳動媒体に用いたゲル電気泳動検出システムを試作した。内径0.8mm、長さ4.3cmの毛細管内にDNA認識部位をもつゲルを調製することにより装置の小型化を実現し、さらに、泳動ゲルの陽極側末端にDNA用蛍光染色剤の液溜めを設置して、ゲルより溶離してきたDNAを蛍光染色剤と反応させた蛍光標識DNAを蛍光検出器にそのまま送り込む工夫をすることにより、検出の自動化を実現することが出来た。 次に、この検出システムを用いた標的DNA検出条件の検討、すなわち染色剤濃度、アクリルアミド濃度、通電電圧等の最適化を行い、検出時間の大幅な短縮を確認した。 さらに、本検出システムを用い、λDNA564bpフラグメントを認識するMIPゲルを調製し、先の実験で決定した最適条件下で、λDNA564bpフラグメントを検出する実験を行った。λDNA564bpフラグメントの溶離時間は、対照としたポリアクリルアミドゲル電気泳動での溶離時間より相対的に長いという、期待された結果が得られた。この実験結果から、MIPゲルの結合部位にλDNA564bpフラグメントが捕捉されたことが推察され、前年度に研究したチューブゲル電気泳動と同様に、相対溶離時間の遅れを利用した標的DNA検出が可能であることがわかった。 本検出システムを用い、病原性大腸菌DNAの断片(34bp、ベロトキシンDNA)を認識するMIPゲルを調製し、ベロトキシンDNAを検出できるかどうか検討した。現時点では、ベロトキシンDNAの相対溶離時間の遅れが明瞭に観察できていない。この原因として、検出に成功したチューブゲル電気泳動の結果および上記のλDNA564bpフラグメントの結果と比較した場合、標的ベロトキシンDNAの鎖長が極めて短いため、DNA結合部位に配位する機能性モノマーの数が少なく、標的DNAと結合部位との相互作用が弱くなっていることから、ゲルの長さ(毛細管の長さ)の不足が考えられる。
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