2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18350084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青山 安宏 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (00038093)
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Keywords | 翻訳系 / タンパク生合成 / tRNA / アシルtRNA合成酵素 / アシル化AMP / リボソーム / EF-Tu / 化学的ミスアシル化AMP |
Research Abstract |
研究の最終年である今年度は“化学的ミスアシル化AMP"法に焦点を当てた研究を展開した。遺伝コードを非天然アミノ酸に拡張する際に鍵となる反応は人工基質のtRNAへの結合段階である。これを酵素反応より進行させることは通常困難であり、いたしかたなく合成化学的にアシル化tRNA結合を調整(化学的ミスアシル化法)したものを用いているが、もとより酵素的ではないので反応は化学量論的に留まり、したがって収率も低く、改善すべき大きな問題となっている。tRNAの酵素的アシル化は2段階から成り立っており、第1段階は基質とATPの反応に基づくアシル化AMPの生成であり、第2段階はアシル化AMPとtRNAの反応によるアシル化tRNAの生成である。我々は、アシルtRNA合成酵素の高い基質選択性は第1段階にあると考え、アシルtRNAを化学的に作っておけば、第2段階は酵素的に進行するのではないかと考え、実行したところ、まさにその通りであることを確認した。すなわち、不安定な非天然基質そのものではなく、そのAMP体を基質として用いれば酵素(天然のアシルTRNA合成酵素)を用いて非天然アミノ酸をタンパク質に導入できることを見出した。我々は特にN-メチルアミノ酸に焦点を当てた研究を展開したが、本知見は多様な非天然アミノ酸をタンパク質に効率よく導入する極めて有力な手法になりえるものである。また、関連した研究を通じ、非天然アミノ酸導入の選択性(効率)を決めている支配因子がアシルtRNAをリボソームに運搬する因子であるEF-Tuとアシル体の結合力に基づくことも明らかにできた。
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Research Products
(4 results)