2006 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク立体構造に基づくチロシンキナーゼ阻害剤の創薬研究
Project/Area Number |
18350090
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
中村 浩之 Gakushuin University, 理学部, 教授 (30274434)
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Keywords | チロシンキナーゼ / 阻害剤 / インデノピラゾール |
Research Abstract |
がんの分子標的治療薬剤の開発を目指し、上皮成長因子受容体EGFRチロシンキナーゼ、血管増殖因子受容体VEGFRチロシンキナーゼのX線結晶構造をもとに、50万化合物ライブラリーからバーチャルスクリーニングを行い、活性の高いと計算された100個の化合物を選び出した。更により詳細にドッキングシミュレーションを行い、ドッキングスコア関数である、LigScore2,PLP1,PLP2,Ludi3,PMF,Jainを用いてコンセンサス法により、信頼性の高いドッキングポーズを選び出し、キナーゼ結合部位との相互作用から目視により選んだインデノピラゾール骨格を基にしたEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の合成を行なった。インデノピラゾール骨格はこれまでその生物活性に関する報告がほとんどないことからも、興味深い。EGFR,HER2,Flt-1,KDRの4種類のキナーゼに対して、ELISA評価法を確立し、EGFRチロシンリン酸化阻害活を調べたところ血管新生阻害活性を有する化合物を見出した。さらに、A431細胞を用いた細胞レベルでの増殖阻害活性では、現在臨床で認可されているTarcevaよりも高い増殖阻害を示すことがわかった。 また、サリチルアミジン骨格に基づくVEGFRチロシンキナーゼ阻害分子の設計を行なった。既に阻害活性が報告されているフタラジン誘導体PTK787およびキナゾリン誘導体ZD6474の骨格に着目し、分子内水素結合を利用した非環状化合物サリチルアミジン骨格を持つ新しいタイプのVEGFR2チロシンキナーゼの開発を行なったところ、数百ナノモルレベルでVEGFR2(KDR)チロシンキナーゼ阻害活性を有する化合物を見出した。
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