2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18350092
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大友 明 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10344722)
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Keywords | 結晶工学 / 電子デバイス・機器 / 半導体物性 / 発光素子 |
Research Abstract |
本年度は、すでに開発した技術である高温アニール自己バッファ(HITAB)層と反復温度変調(RTM)法を用いて、p型ZnO薄膜の成長および光学的評価を進めるとともに、低抵抗p型化に向けてZnO薄膜ならびにMgZnO薄膜の欠陥を低減する成長技術の開発に注力した。また、高効率紫外発光に必要なダブルヘテロ構造設計で重要となるMgZnOの自発分極について初めて明らかにし、ZnO/MgZnO界面に2次元電子ガスを形成して量子ホール効果の観測に成功した。以下に具体的な結果を述べる。 1.p型ZnO薄膜の評価 RTM法および通常の低温成長で得られたp型ZnO薄膜中のイオン化不純物の不均一性をドナー・アクセプタペア発光の励起光強度依存性や発光寿命を議論し、前者の薄膜がより高い均一性が有していることを明らかにした。また、詳細な解析からアクセプタの活性化エネルギーを170meVと算出した。 2.ZnO薄膜およびMgZnO薄膜の高品質化 HITAB層上のZnO薄膜の成長条件を最適化することで、世界最高の移動度(440cm^2/Vs@室温)と励起子発光寿命(3.8ns@室温)を同時に達成した。MgZnO薄膜では、HITAB層を用いることで発光特性が向上できたが、ZnO薄膜に比べると更なる結晶品質の改善が必要であることがわかった。 3.量子ホール効果 低温における電子移動度の低下に最も影響を及ぼすイオン化不純物散乱を極力抑えたことによって、低い電子密度(〜10^<12>cm^<-2>)でも高い移動度(〜5000cm^2/Vs@1K)を達成し、量子ホール効果の観測に至った。また、詳細な解析からMgZnOの自発分極を決定し、ダブルヘテロ構造における発光層のバンド構造について明確な設計指針を得た。
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