2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18350093
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石井 久夫 Chiba University, 先進科学センター, 教授 (60232237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 裕 千葉大学, 先進科学センター, 助教 (20399538)
中山 泰生 千葉大学, 先進科学センター, 特任教員 (30451751)
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Keywords | 有機半導体 / 有機EL素子 / A1q3 / 巨大表面電位 / 変位電流評価法 / 配向分極 / 界面電荷 / TPBi |
Research Abstract |
有機EL素子材料としてしられるAlq3をはじめとする幾つかの物質では、(i)暗所で真空蒸着により製膜すると分子が持つ永久双極子が配列して巨大な表面電位を持つ膜が形成される、(ii)膜を光照射するとこの表面電位が減衰する、といった興味深い性質が知られている。「このような永久双極子の配列効果が実際の素子構造において生じるのか?」「素子特性に影響を及ぼすのか?」を探索するのが本研究の目的である。前年度までに代表的な有機EL素子である陽極/NPD/Alq3/陰極型素子の変位電流測定を行い、NPD/Alq3界面に存在することが報告されていた界面電荷の起源がAlq3の永久双極子の配向分極による分極電荷であることが強く示唆する結果を得ていた。本年度は、Alq3と同様に巨大表面電位現象を示すことが知られているTPBi分子に着目し、同様の実験を行った結果、Alq3と同様には以降分極による界面電荷の発生が生じていることや、さらにAlq3とTPBiを組み合わせた素子においてはそれぞれの配向分極の差に相当する界面電荷が生じることを見出した。これらの結果は、確かに有機EL素子中で配向分極による分極電荷が生じていることを明瞭に示すものである。また、これらの素子の作成中にイオンゲージ真空計を動作させると分極成分が減少することや、試料が吸収する波長の光を照射すると分極が界面からの距離の関数で増加することなども発見した。これは、有機EL素子の作成時の雰囲気が素子特性に大きく影響する可能性を示している。この他、素子特性を検討するため電子構造研究も平行して行った。 以上、分極反転を示す強誘電体とよべる有機半導体は見つからなかったが、焦電体的な性質を示す物質群が存在し、実際の素子特性にその配向分極成分が関与していることを明らかにすることができた。
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